「後輪が隠れるバス」なぜ? 乗用車では廃れた後輪カバー バスでは健在
「後輪の一部がボディに隠れるクルマ」、かつては乗用車のひとつのスタイルでしたが、路線バスではいまだ健在です。関西ではむしろ、標準仕様になっているケースもあるのはなぜでしょうか。
乗用車じゃ廃れた後輪カバー、なぜバスに?
乗用車では、「後輪の一部がボディに隠れるクルマ」が少なからず存在します。一般的にクルマは前後のタイヤの形に沿ってボディ側面が開いていますが、「スパッツ」や「スカート」と呼ばれるカバーで、あえて後輪の一部を覆うスタイルです。昔のアメ車や、フランスのシトロエンなどでよく見られたものの、いまの量産車ではめったに採用されなくなっています。
そんな後輪のカバーが、関西では特に路線バスで多く見られます。たとえば阪急バスは2009(平成21)年から、基本的にすべての新車で装着しているとのこと。大阪シティバスを始め他の事業者でも採用例は多く、小型路線バスやマイクロバスにも装着されています。
ただ、それらのほとんどでカバーは左の後輪のみに限られています。乗用車の場合、後輪を覆う理由は空力性能を向上させるためなどといわれますが、バスの場合、カバーするのは片側だけなので、そうでないことは明白です。
阪急バスによると、後輪カバーは「自転車や原付の巻き込み防止」が目的とのこと。つまり、安全対策というわけです。
バスは左折時の内輪差が大きく、左後輪は死角にもなりやすいものです。高速バスなどに使われる大型観光バスでは近年、左の後輪近くのレーダーにより障害物などを検知し、左折巻き込み事故の危険性を警告する機能もあるほど、左後輪には特に注意が払われます。
大阪シティバスの前身である市バス時代の安全報告書に、後輪カバーの効果が紹介されています。バスはタイヤとボディの隙間も大きいため、カバーがない場合、たとえば自転車が接近した際に自転車の前輪やハンドルを持つ手などがタイヤに巻き込まれる恐れがあることが写真で示されています。
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