眺め最高! 神津島から日本唯一のミニ飛行機で「調布」へ なぜ超低空飛行?
「バラバラバラ、ブォォォン」プロペラ機ならではの音
筆者は4列目の進行方向左側を指定されました。すぐ横に翼とエンジンが見え、迫力は満点です。離陸するとエンジン音は、ジェット機の「ゴオォ」ではなく、「バラバラバラ、ブォォォン」。プロペラ機ならではの音です。滑走路を離れると、神津島上にある国内最短800m滑走路の空港が、海上に浮かぶ航空母艦のように見えます。
離陸後に、気圧の変化をほぼ感じないことにも気づきました。これは、228NGが客室を与圧しないからです。それもあって、飛行高度は推定1800~2000m程度。進行方向左側に見える富士山よりも低く飛びます。ジェット旅客機は高度1万m付近を飛びますから、見える景色がとにかく近いです。
進行方向右側の景色を同行者に聞きました。それは伊豆諸島を見下ろすもので、島の細かな造形が見えて絶景とのこと。この高度の低さは、最後まで感じました。巡航速度が355km/hと遅い(ジェット旅客機は800~900km/h程度)こともあり、本州上空に到達しても、景色がゆっくりと流れていきます。
着陸する飛行場は羽田でも成田でもありません。住宅地の中にある調布飛行場です。長らく国が管理していたこともあり、旅客機が離着陸するイメージはあまりないかもしれませんが、機体はサッカー場である味の素スタジアムの脇に降りていきます。2021年現在、定期旅客運航しているのは新中央航空のみ。日本唯一の機体もさることながら、神津島~東京便はとてもレアな路線といえるでしょう。
取材日は快晴だったこともあり、機内は満席。揺れもほぼない快適なフライトでした。
【了】
Writer: 安藤昌季(乗りものライター)
ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。
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