世界で売れる韓国製「K9自走砲」何がイイのか? 武器が売れない日本との違い

現地条件や要望を取り込む韓国

 K9は配備後に能力向上改修を受けていますが、この際、火器管制装置のコンピュータとOSの更新も行われています。これらの更新は、そのコンピュータの生産中止とOSのアップデート終了により、維持コストの上昇が見込まれたために行われたものですが、メーカー側は当初、信頼性の高さを理由にコンピュータとOSの換装に消極的な姿勢を示していました。

 しかし、すでにK9を国産化していたインドと、K9の提案が行われていたオーストラリアの両国が維持コストの上昇に懸念を示したことから、韓国で防衛装備品の開発や調達、輸出を統括するDAPA(防衛事業庁)が、コンピュータとOSの更新を強行したのです。もちろんオーストラリアがK9を導入した理由はこれだけではありませんが、韓国政府が民間企業の反対を押し切って、導入にあたっての不安要素を打ち消したことも、今回K9とK10の輸出に成功した一つの要因であると見られています。

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ヨーロッパや中東向けに開催された防衛装備展示会「ADEX2019」に展示された中東向け輸出仕様K2の試作車(竹内 修撮影)。

 一方で韓国は、K2戦車の輸出提案を行っていますが、ヨーロッパへの提案にあたっては増加装甲の追加などに伴う重量の増加に対応するため、韓国陸軍仕様のK2よりも大型化した仕様を打ち出しています。

 また中東のオマーン向けの提案では、韓国やヨーロッパに比べて高温な中東での運用を想定して、最大摂氏55度まで対応できる冷却システムを追加し、かつアラビア語にも対応した車両間で情報を共有するシステムを搭載するなどの改良を加えています。

 このように輸出対象国の懸念や要望を敏感に捉えた改良を厭わない点も、K9に限らず韓国製の防衛装備品が世界市場でシェアを拡大できている理由の一つだと筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は思います。

【了】

【目ヂカラが違う!】豪州向けK9「AS-9」を画像で見る

Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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コメント

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4件のコメント

  1. タイトルでは日本との違いを強調して書かれていますが、競争相手は日本だけなのですか?違いますよね?ならば態々日本と書かないで、韓国の製品が売れる理由、とのみ書けばいいのではないでしょうか?仮に日本のここが駄目だ、と記事内部で紹介されていれば問題無いですが日本の事情には全く触れてないですよね?

  2. 見てもらう為にこういう記事書く人間多いな
    韓国と中国出してれば売れるから仕方ないかな

  3. 日本だってAVの世界シェアだったら負けてないですね。違法アップロードと逆輸入(藻無しの為)で輸出総額はちょっと劣るかもですが

  4. なんで題名には日本との違いを強調して書いてるのに日本についてはまったく触れてないんだ。韓国上げしたいだけなら「世界で売れる韓国製K9自走砲、何が良いのか?」と書けばいいじゃないか