日本も関係するグアム防衛の最新事情 米軍の備えに新たな展開 見据える先は当然中国

米軍がイスラエルの開発した「アイアンドーム」を試験しているというニュースは、グアム防衛に新たな動きがあるという点で注目に値するものでした。ここにきてグアムの守りを厚くする理由と、その最新の動きを見ていきます。

グアム防衛の現状と将来

 それでは、現在グアムの防衛体制はどうなっているのかというと、想定される脅威に対処可能な体制には必ずしもなっていないというのが実情です。

 現在、グアムに固定配備されている防衛用兵器は、北朝鮮による弾道ミサイル攻撃への対応を目的に2013(平成25)年から配備されているアメリカ陸軍の「THAAD(終末高高度防衛)」のみですが、THAADは弾道ミサイルにしか対応することができず、巡航ミサイルなどに対応することはできません。こうした現状に関して、インド太平洋軍副司令官のスティーブン・スクレンカ海兵隊中将は、「今日のグアムにおけるミサイル防衛能力は、昨日の脅威にしか対応できない」とさえ評しています。

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グアム島に試験配備された「アイアンドーム」は、トラック牽引式のマルチミッションモバイル防空システム。2021年11月17日撮影(画像:アメリカ空軍)。

 そこでアメリカ陸軍は2021年10月から12月にかけて、巡航ミサイルなどに対応することを目指して、イスラエル製の防空システムである「アイアンドーム」を試験的に展開させました。しかし、インド太平洋軍司令官のアキリーノ大将は、アイアンドームでは360度をカバーする防空体制が実現できず、また将来の脅威にも対応できないとして、「これは我々が求める答えではない」としています。

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コメント

1件のコメント

  1. 某国のミサイルが日本の近海を飛んでも、それが何なのか、発射地点はどこなのかすぐに明かさないのは、索敵能力を意図的に隠しているのか、それともイージス艦の限界なのか。

    巡航ミサイルどころか他の種類の

    弾道を予測できないミサイルを中露は色々配備しつつあるようだが、イージスアショアはそれらの着弾地に警報を出せるのか。