日本も関係するグアム防衛の最新事情 米軍の備えに新たな展開 見据える先は当然中国

グアム防衛を担うのは日本でもおなじみ「イージスアショア」か?

 そこで、アキリーノ大将や、その前任者のデイビッドソン大将が求めているのが、イージス艦の中枢システムをそっくりそのまま地上に移設した「イージスアショア」の配備です。イージスアショアであれば、搭載する迎撃ミサイルによって巡航ミサイルから弾道ミサイルまで幅広い脅威に対応できるほか、将来的には極超音速滑空兵器への対応も視野に入っています。つまり、現在インド太平洋軍が求める全ての能力を有していることになるわけです。

 最近の動向として、2021年12月8日にアメリカ議会上院を通過した「2022年度国防権限法」(国防予算の大枠を決めるために毎年成立される法律)では、グアムの防衛能力に関して、今後10年間に出現することが予想される脅威に対応可能な360度をカバーする統合防空システムに加え、2025年までに運用体制を整えるべきものとして、イージス艦やPAC-3など既存の防空システムを組み合わせて配備することなどが求められました。

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グアムに配備されているTHAAD(画像:アメリカ空軍)。

 アメリカは着実に中国との軍事衝突への備えを強めており、日本とは少々、違った意味での「島しょ防衛」を進めています。現在、混迷を極めるイージスアショア代替策を含め、中国のさまざまなミサイル攻撃に対する日本の対応にも注目が集まります。

【了】

B-1とB-2の後継 試験生産中の戦略爆撃機B-21「レイダー」

Writer: 稲葉義泰(軍事ライター)

軍事ライター。現代兵器動向のほか、軍事・安全保障に関連する国内法・国際法研究も行う。修士号(国際法)を取得し、現在は博士課程に在籍中。小学生の頃は「鉄道好き」、特に「ブルートレイン好き」であったが、その後兵器の魅力にひかれて現在にいたる。著書に『ここまでできる自衛隊 国際法・憲法・自衛隊法ではこうなっている』(秀和システム)など。

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コメント

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1件のコメント

  1. 某国のミサイルが日本の近海を飛んでも、それが何なのか、発射地点はどこなのかすぐに明かさないのは、索敵能力を意図的に隠しているのか、それともイージス艦の限界なのか。
    巡航ミサイルどころか他の種類の
    弾道を予測できないミサイルを中露は色々配備しつつあるようだが、イージスアショアはそれらの着弾地に警報を出せるのか。