「大和」だけじゃない 大艦巨砲主義の象徴&最も戦艦にこだわり続けたアメリカのナゼ

変化した戦艦の役割

 このように、各国の戦艦の建造計画はそれぞれ中止されたり変更されたりと、さまざまな道をたどりましたが、その事情をもう少し掘り下げて見てみましょう。

 まず、第2次世界大戦の海戦は太平洋と大西洋で性格が違っていました。大西洋ではドイツ海軍が弱体で空母を完成させられず、ドイツは大戦前半については戦艦や装甲艦で、後半は潜水艦でアメリカやイギリスといった連合国の輸送船団を攻撃しています。それに対して太平洋では、日本とアメリカの双方が戦艦や空母を始めとした強力な軍艦を多数保有しており、それらを中心とした複数の艦隊を編成していました。

 日本はハワイ真珠湾攻撃前の1940(昭和15)年に複数の空母を中心に編成した艦隊、いわゆる空母機動部隊を創設し、航空機を海戦の主役に据えるようにしました。この動向は旧日本海軍の山本五十六連合艦隊司令長官の言葉どおりにみえます。

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イギリスの戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ」(画像:帝国戦争博物館)。

 太平洋戦争中は日米とも空母の数を増やしたものの、戦艦の建造に見切りをつけた日本に対して、国力のあるアメリカがモンタナ級戦艦を中止にしたのは、開戦からかなり経過した1943(昭和18)年7月でした。アイオワ級戦艦は1944(昭和19)年4月に「ウィスコンシン」が最後に就役し、残る「イリノイ」は終戦直前の1945(昭和20)年8月12日、「ケンタッキー」は戦後の1950(昭和25)年1月に建造中止になっています。

 このように見てみると、すでに時代が航空機中心になりつつあったなかで、むしろ日本よりもアメリカの方が戦艦にこだわり続けたといえるでしょう。ただ、それには理由がありました。

【写真】太平洋戦争中の日米戦艦

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コメント

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2件のコメント

  1. 今では海軍の主力は、駆逐艦ですからね。
    でかいのを1隻作るよりも、運用しやすい駆逐艦を10隻の方が作戦遂行にはいいのでしょう。
    70年前は航空機だった長距離砲の代わりは、今ではミサイルがやってますからね。

    水平線の向う側にいる敵艦目掛けてミサイルが飛んでいく時代ですから。

    • wwⅡの時で、既に水平線の向こうの敵と砲戦してます。