「日本の新鋭軽巡恐るべし」「特異な巡洋艦」世界を震撼させた「夕張」1隻で終わったワケ
ド級戦艦以上に世界から注目された超スゲェヤツ
「夕張」は、常備排水量3100トンの船体に、50口径14cm砲6門、61cm魚雷発射管4門を搭載し、19+38mmの舷側装甲を備え、最大速力は35.5ノット(約65.7km/h)を発揮する計画でした。
参考までに、同時期の建造となった長良型軽巡洋艦は、常備排水量5502トン、50口径14cm砲7門(内片舷に指向できるのは6門)、61cm魚雷発射管8門(片舷4門)、舷側装甲63.5mmで、36ノット(66.6km/h)でした。
「夕張」は今までにない軍艦だけに、設計通りに施工できない部分もあり、実際は常備排水量3509トン、最大速力は34.7ノット(時速64.2km/h)とやや目標に届きませんでした。それでも長良型の64%しかない排水量の船体に、ほぼ同等の武装を搭載した設計は画期的だったと言えます。さらに長良型よりも、船体の動揺や振動で優れていました。
こうして生まれた「夕張」の画期的な設計は、世界中を驚かせました。世界の軍艦を解説するジェーン軍艦年鑑の1926~1933年版で「夕張」は、「特別説明」として「わずか3100トンで、球磨型と大差ない速力と攻撃力を備えた、特異な巡洋艦」と解説されました。「夕張」の誕生17年前に生まれた、イギリス戦艦「ドレッドノート」も世界中の軍関係者を驚愕させた画期的な軍艦でしたが、こちらは「特別説明」などされていません。それだけでも「夕張」が、世界をいかに震撼させたのかがわかります。
イギリスの「ザ・エンジニーア」誌や、アメリカの「バルチモア・サン」誌は「日本の新鋭軽巡恐るべし」という内容で取り上げており、イギリス議会では同国海軍省が「我が国の巡洋艦は、夕張や古鷹型と比べて、劣るものではない」とあえて釈明したほどでした。
オマハの注釈がある写真は夕張ですよね
ですね、
オマハ級は4本煙突だし
拡大画像
アメリカ海軍の軽巡洋艦「オマハ」(画像:アメリカ海軍)。
とありますが、夕張でしょう。
乗りものニュース編集部です。
このたびはご指摘をいただき、誠にありがとうございます。
修正いたしました(写真を差し替え)。
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