東名・名神の「右ルート」「左ルート」なぜできた? ほぼ並行、どちらを走れば得か
右ルート/左ルートはなぜ生まれた? すべての区間に共通点
ではなぜこのような右ルート./左ルートが生まれたのでしょうか。実は、先述の4区間には共通点があります。それはトンネルの存在です。
もともと名神・東名・中央道とも交通量の多い区間で、さらに山間部で勾配や起伏が激しいために速度が低下してしまうなどの構造的な要因から、週末や大型連休の際には大渋滞が発生する区間として有名でした。しかしこれら区間には、東名なら都夫良野トンネルや日本坂トンネル、名神なら天王山トンネルなど、線内最長級のトンネルがあります。
混雑を緩和させるために車線数の増加が検討されますが、道路を拡幅したくても、トンネルは容易に幅を広げることができません。そこで既存の道路の周辺に新しい道路を作るという策が取られたのです。もちろん現状の高速道路の車線数を増やすよりも建設費はかかるものの、工事中に既存の道路の交通を規制する必要が少なくすむため、かえってスムーズに建設ができるメリットもありました。
1991(平成3)年、大井松田~御殿場IC間で南側を通る新たな3車線道路が完成。上り線として供用開始します。一方で既存の道路は、中央分離帯で分かれた旧上下線を、どちらも下り線として使うことになりました。どちらも同じ方向へクルマが走る右ルート/左ルートにして、2車線から4車線へ実質的に拡幅となった、というわけです。
では、上下線とも左右ルートに分かれる名神の場合はどうでしょうか。こちらは、天王山トンネルのほか、大阪寄りの梶原トンネルも、車線数を増やす目的で新たなトンネルを元の上下線に並行して掘りました。現在は、それぞれの山を4本のトンネルが並んで貫いていますが、このうち、「新たに作ったトンネル」の位置が、地理的条件から天王山と梶原でズレることになりました。
天王山トンネルの場合、現在の下り線の左右ルートがもともとの上下線で、その北側にトンネルを2本平行して新設し、新たな上り線としました。一方、梶原トンネルは、真ん中の2本(上下線の右ルート)がもともとのルートで、その外側に1本ずつトンネルを新設し、交通容量を増やしたのです。
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右ルート/左ルートの案内標識を見ると、それぞれが離れているようにも思えますが、実際にはつかず離れずの線形となっています。どちらのルートを選んでも、所要時間や距離の面で違いほとんどはありません。
ただしまれに、片方のルートが事故や工事などで渋滞していて、もう片方は順調に流れている場合があります。その情報は、分岐の手前にある電光表示板で知らされるので、ルート選びの参考になります。
【了】
Writer: のっぴー(運転を愛してやまないドライブロガー)
山梨出身の運転歴13年で、車の運転がとにかく大好き。運転で得た知識や経験を発信することにより、実用的で効果のある運転方法や快適で楽しいドライブプランを読者に伝える、「のっぴードライブログ」を運営中。
1991(平成3)年、大井松田~御殿場IC間で南側を通る新たな3車線道路が完成。上り線として供用開始します
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割と良く使うし、特に御殿場方面からの帰路で利用するが、【上り車線】だから「南側」じゃなくて「北側」だろ?
この区間は途中で立体交差して上下線の位置が入れ替わっているので、一部上り線が南側にあるのは間違ってはいないかと…。
名神の梶原トンネルの上空写真2枚(6、7枚目)ですが、どちらも同じ写真にしか見えないのですが…?
ご指摘ありがとうございます。修正いたしました。
大井松田ICで右ルート左ルート別れますが、大井松田ICから流入すると左ルートしか使えません。(流出地点では左右ルート分離してません)
下りの談合坂SICから入ると、強制的に左ルートとなります。
上り小仏トンネルの左ルート、できるだけ早く、2車線で開業して欲しい。
新設中の小仏トンネルですが、作られるのは残念ながら1車線です。
完成予想図を見る限り、トンネルの幅が既存のと同じように見えますが、それはきっと既存のトンネルを通行止めにして工事するときに新トンネルを2車線にするためではないかと思われます。