「日本最北の空港」路線復活なるか? カギ握るATRの新型旅客機

礼文島民の生活様式にも変化が

 稚内に出るにはフェリーでまず2時間かかります。そこから都市間バスならば約6時間半、鉄道(JR北海道)利用の場合は駅などで乗車まで2時間待ったのち、列車で約7時間半も札幌までかかります。

 しかし、航空機であれば稚内空港から新千歳空港空港は1時間、利尻空港から丘珠空港は55分のため、礼文島を起点にしてもフェリーを使って稚内経由で4時間50分、利尻島経由で4時間14分で札幌に到着することができ、陸路と比べると比較的時間を短縮できます。

 バスや鉄道など、地上移動と比べると航空機はだいぶ楽になりますが、礼文島民からすると、利尻空港や稚内空港を使う場合でも海を渡らないと飛行機にはたどり着けません。もしこれが礼文空港発着ならば、フェリーに揺られる時間すら短縮できるようになるのです。

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礼文島の香深港フェリーターミナルに接岸中のフェリー「サイプリア宗谷」(斎藤大乗撮影)。

 とはいえ、礼文空港は休止中のため、滑走路は開港当初の800mのままです。この滑走路長は東京都内にある調布飛行場と同じ長さであり、大阪府の八尾空港(1490m&1200m)よりは短いものです。この距離だと、ボンバルディアのCRJ200やエンブラエルのE170といった小型ジェット機、いわゆるリージョナルジェットでも離着陸できません。

 他方、ボンバルディアDHC-8-Q400やATR42-600といった、ジェット機よりも短距離離着陸性能に優れているターボプロップ機でさえ、少なくとも1000m以上の離陸滑走距離が必要で、礼文空港への就航は厳しいものがあるといえます。

 ただ、ヨーロッパの航空機メーカーATRが2017(平成29)年6月、短距離離着陸(STOL)性能に特化した新型ターボプロップ機ATR42-600Sを発表したことで、がぜん礼文空港に定期便が復活する光明が見えるようになりました。

【最北の空港はこんなところ】礼文空港や稚内空港などをイッキ見

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コメント

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3件のコメント

  1. 最南端の波照間空港も休止中だがどうなのかな?同じように石垣島に行くより那覇に行きたいとか。

  2. 採算が絶望的な路線の為に新型を購入する余裕がどこにあるのだろう?
    それよか隣の利尻への船便を増やすほうがまだ現実味があるのでは?
    利尻はジェットの定期便が健在なのだから。

    • JRは遅すぎる
      5時間もかかる位なら飛行機で1時間の方がラク
      シェアもがっつり奪えそうだしね