あさま山荘事件の“盾” 非ハリボテ装甲車の考え抜かれた形 警視庁「特型警備車」誕生秘話
東大安田講堂事件で警察関係者に激震
1960年代に入ると、暴徒が火炎瓶を使用するようになり、さらに猟銃や拳銃なども使うなどエスカレートしたことで警察当局も警備車の機能向上、とくに防護性を強化する必要に迫られたといいます。
まずは1965(昭和40)年頃、小口径銃弾に耐えられる防弾鋼板で装甲化した小型全輪駆動車が警察から要求されたといいます。防弾鋼は極めて特殊な合金であるため、成形・加工には高度なノウハウが必要なことから、バス・トラックメーカーではなく、自衛隊の装甲車を製造していた三菱重工に声がかかったようでした。
林技師いわく、このとき製作された警備車が、日本警察初となる防弾鋼使用の装甲車になるそうです。
1969(昭和44)年1月には東大安田講堂事件が起きます。このとき、普通鋼板で装甲化した従来のバス型警備車が多数出動したものの、安田講堂の上から石に混じって金庫が投げ落とされ、この直撃を受けた警備車の屋根が大きく変形したことが、警察関係者にショックを与えました。
そのため、このような重量物の直撃にも耐えられる新たな警備車が必要であるとされ、生まれたのが、あさま山荘事件で活躍した「特型警備車」です。
三菱重工の自動車部門(のちに三菱自動車として独立)が生産する全輪駆動仕様のW80型トラックをベースに防弾鋼板製ボディを架装、上部には旋回式の放水装置を備えた本格的なものでした。なお、林技師の記録によると同車は「大型警備車」と呼ばれたとのこと。いつ頃から呼称が「特型警備車」に変わったかは不明でした。
各種の映画やアニメにも警察車両として登場したりしてますね。
配色もねずみ色だけでなく白黒のツートンカラーだったりと見栄え良い配色だったりしてます。
佐々淳行の「危機管理のノウハウ」という本は、面白いし役に立つ。