ハンドルレバーが3本どう使う? 東京多摩のレトロ赤バイ 実は「消防史の生き証人」だった

東京消防庁の東久留米消防署に展示されている1台の赤バイ。この車両、実は東京消防庁の記録には含まれないレア個体でした。構造的にも独自性の高いもの。どういう経緯で残っているのか話を聞きました。

消防体制変更で長い眠りから覚める

 当時はCB350ベースの赤バイ以外にも、ひと回り小さなCD125ベースの赤バイもあったとのこと。ただ、お二人が入署した頃には両車とも、いわゆる消防車として災害出場する運用は行われなくなっていたといいます。

 車検は通していたため公道走行できる状態にはあったものの、平時も出動することはなかったそう。とはいえ、毎年1月初旬に行う出初式では車両として走行し、市民に披露していたと話してくれました。

 こうしてCB350赤バイは1980年代前半に運用を終了し、退役しました。このあと、同車は市内南部の前沢出張所(当時)の一角にしまい込まれ、長い眠りにつきます。

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東京消防庁東久留米消防署に展示されているCB350ベースの赤バイ(2022年2月、柘植優介撮影)。

 CB350が久方ぶりに陽の目を見たのは、東久留米市の消防体制変更がきっかけでした。東久留米市は2000年代に入ると単独での消防業務をやめ、ほかの多摩地区の自治体と同じように東京消防庁へ消防業務を委託することを決めます。

 これにより、2010(平成22)年4月1日を境に東久留米市消防本部は廃止され、新たに東京消防庁東久留米消防署が発足しました。このときの体制変更で前述の前沢出張所は廃止され、取り壊されることになったのですが、その際に保管されていた各種装備とともに往年のホンダCB350が見つかります。

 長年放置されていたCB350は埃をかぶり錆だらけでしたが、職員のひとりが、消防署の入り口が殺風景だからCB350を展示しようと言ったことで、CB350は職員の手で錆や汚れなどが落とされ、消防署の入口脇で展示されるようになったそうです。

【走らないと動かないサイレンの取付位置】東久留米のレトロ赤バイほか

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