「クロネコ貨物機」で打倒ANA? ヤマトと仕掛けるJAL貨物 2社の“秘策”は対照的?

「クロネコヤマトの宅急便」でおなじみヤマト運輸が、ついに自社で貨物機を持ちます。このことが、もしかすると貨物事業における「JALとANA」の構図に変化をもたらすかもしれません。

一方、ANAグループは?

 一方、ライバルのANA(全日空)は貨物事業ではここ数年、まさに“攻め”の姿勢であったといえるでしょう。

 ANAは2013(平成25)年、グループ内で貨物専用航空会社「ANAカーゴ」を設立します。同社は国内貨物航空会社の老舗、NCA(日本貨物航空)と連携するなどしながら運航規模を年ごとに拡大させ、2019年7月には、100tを超えるペイロード(搭載容量)を持つ大型の貨物専用機「ボーイング777F」を国内で初導入。その後もコロナ禍以降とくに、貨物需要の追い風も受け、現在はANAグループの収益を支える立派な柱になりました。

 2021年10~12期の連結決算で比べると、専用機を持たないJALの国際線での貨物収入は前年同期比88%増の525億円だったのに対し、貨物機を持つANAHDは同96%増の993億円。ともに大幅に貨物需要は増加していますが、JALの現状の売り上げはANAHDに大きく差をつけられている状況です。

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ANAカーゴのボーイング777F(乗りものニュース編集部撮影)。

 物流大手と組み、グループのLCCを用いるJALの再参入戦略は手堅い印象を受けるのに対し、ANAカーゴの方針は積極的な姿勢で、2社は非常に対照的な方針をとっています。ただいずれにせよ、街で見かけるクロネコのワゴン車が経済の活況を示すように、2年後の空港では、クロネコが描かれた貨物機が、トリトンブルーの描かれた貨物機と並び、発着する姿が見られるでしょう。

 ちなみに、ヤマト運輸の航空貨物参入は空港側からも歓迎されています。北九州空港を九州唯一の24時間空港とアピールしている福岡県は、県の公式サイトで、「貨物拠点化を目指し、北九州市、苅田町と力を合わせて取り組みを行ってきた。農産物の販路拡大や県内企業の競争力向上が期待される」と、県知事のコメントを発表。貨物専用機がこういった空港に多く行き交うようになれば、地方空港の有効利用化、活性化につながるという“一石二鳥”の効果もあります。

【了】

【画像】カワイイ!と話題に? 「ヤマト貨物機の全貌」など

Writer:

さがら せいぞう。航空月刊誌を中心に、軍民を問わず航空関係の執筆を続ける。著書に、航空自衛隊の戦闘機選定の歴史を追った「F-Xの真実」(秀和システム)がある。

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