ロシアの侵攻は宇宙開発をも乱す 英国のロケット打上拒否で信用失墜 影響は多大か?

打ち上げの体制と保険からの締め出し

 今回の打上げは、ワンウェブ社の衛星をソユーズ2.1bロケットで発射するものですが、ワンウェブ社とロスコスモス社が直接契約しているわけではありません。ワンウェブから見た打ち上げ発注は、次のようになります。

 ワンウェブ社→アリアンスペース社→スターセム社→ロスコスモス社

 まずワンウェブ社は、フランスのエブリーに本社を置くロケット打ち上げ企業、アリアンスペース社と打ち上げ契約をします。アリアンスペース社は、自らが出資するヨーロッパとロシアの共同出資企業、スターセム社(本社フランス・エブリー)を通し、ロスコスモス社にソユーズロケットの商業打ち上げを発注します。それを受けたロスコスモス社は衛星を受け入れ、打ち上げを行います。

 ロスコスモス社はヨーロッパとの協力も終了すると述べており、上記の発注の流れも現在は機能していないと考えられます。

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ギアナ宇宙センターのソユーズ組み立て施設には、スターセムに出資するアリアンとロスコスモスのロゴが並ぶ(金木利憲/東京とびもの学会撮影)

 さらに追い打ちを掛けるように、3月3日、イギリス政府はロシアの航空および宇宙産業企業に関するイギリスの保険・再保険サービスを差し止めると発表しました。

 宇宙開発についての3条約のひとつである宇宙損害責任条約に加入している国は、万が一打ち上げに失敗して他国に損害を与えた場合、最終的には政府が賠償しなければいけません。ロシアもこの条約を批准しています。条約に実効性を持たせるために、ロシア連邦宇宙活動法によってロケット打ち上げ時に指定金額の保険を掛けることが強制されています。

 保険料はロシア連邦宇宙基金に積み立てられるか、任意の保険会社に支払われるのですが、打ち上げ保険を引き受ける主要な保険会社は限られており、アメリカ、イギリス、ドイツといった、対ロ制裁を行っている国に偏っています。

 ここを制限するとなると、とりわけ西側諸国との打ち上げ契約に影響するのではないかと考えられます。

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