ロシアの侵攻は宇宙開発をも乱す 英国のロケット打上拒否で信用失墜 影響は多大か?

2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵略の影響は、宇宙開発の分野にもおよんでいます。なかでも3月4日のソユーズ商業打ち上げは、ロシア宇宙開発の信頼を損ねる事件でした。

信用を失ったロシア宇宙開発

 ロシアはウクライナ侵略に際して様々な国際法を破っています。加えてロケット打ち上げを担うロスコスモス社は、ロシアの政治的要求を通すために顧客の衛星をいわば人質に取ったと言えるでしょう。こうした行動が重なった結果、ロシアおよびロスコスモス社は国際的な信用を失墜させています。

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ISS(国際宇宙ステーション)に係留されるロシアのソユーズ宇宙船(左)とプログレス補給船(画像:NASA)。

 ロケットの打ち上げは、失敗なく決められた時期に宇宙にモノを運ぶこと、すなわち確実性と定時性が求められます。今回の行いは明らかにその両方を満たしていません。そして要求内容が政治的である以上、今回に限った話で終わるとは言い切れません。今回は企業相手でしたが、たとえば国際宇宙ステーション(ISS)向けフライトで「ロシアに制裁した国がISSから手を引かなければ、打ち上げない」と言い出すかもしれない、という疑念が生まれます。こんな状況では、いくら打ち上げ費用が安くとも依頼しようとは思えないでしょう。

 ロシアがISSという大きな国際プロジェクトを受け持っている以上、今後の宇宙開発の枠組みに大きな影響を与える事件だったと言えるでしょう。

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