「エアバスvsボーイング」は新章へ 舞台は貨物機 受注合戦の新型777F&A350F

エアバスの貨物機部門のこれまで

 フレイターの分野において、かつて“2大巨頭”だったのは、ボーイングと、マクダネル・ダグラスでしょう。ただマクダネル・ダグラスは1997年にボーイングへ吸収されています。マクダネル・ダグラス製フレイターの終焉ともいえるMD-11最後の200号機がルフトハンザ・カーゴに納入された2001年2月から、20年以上がたちました。

 いまや貨物機は、ほとんどエアバスとボーイングのみとなり、2強の対決は空港の貨物エリアでも、よりハッキリと見えるようになりました。ただ、2022年現在も空港で目撃できるフレイターの数は、ボーイング機の方がまだまだ上です。

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手前がルフトハンザ・カーゴのボーイング777F。奥がMD-11F(画像:ルフトハンザ・カーゴ)。

 旅客機分野でエアバスが飛躍した要因は、それまでの旅客機の固定概念を覆すようなアグレッシブな設計も一因といえるでしょう。たとえば旅客機として初めてサイドスティック操縦桿を導入したA320をはじめ、完全総2階建ての胴体を採用したA380などが挙げられます。

 このエアバスのアグレッシブさは、ここ数年の貨物機市場でも十分発揮されています。たとえば同社は2010年のシンガポール航空ショーで、双発旅客機「A330」の貨物改修型「A330P2F」を披露しました。同機の積載容量(ペイロード)は約62t。このときエアバスは「(ボーイングの)767-300F(約53t)と747-400F(最大で約124t)や777F(約102t)の間を埋める唯一の中型貨物機」とライバルにないメリットをアピールしました。

 また、2021年12月には、150~200席クラスのベストセラー機「A320」の貨物転用型A320P2Fが初飛行。冒頭のA350Fが就航すれば、エアバスのフレイターはついに、小型機から大型機までのレパートリーが出揃い、本格的にボーイングとの“一騎打ち”に挑めることになるのです。

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