【空から撮った鉄道】「赤い電車」京浜急行電鉄を空から見てみよう 後編

京浜急行電鉄の後編です。前編は横浜まで紹介しました。後編は横浜市内中心部、金沢八景、三崎口、浦賀を紹介します。

この記事の目次

・横浜市内は高架あり、掘割あり、トンネルあり
・金沢八景からは逗子線へ
・本線に戻って南下
・最後は久里浜線

【画像点数】全26枚

横浜市内は高架あり、掘割あり、トンネルあり

「京浜急行電鉄を空から見てみよう」の後半は、横浜駅からスタートします。本線は浦賀まで延びており、金沢八景駅から逗子線、堀ノ内駅から久里浜線が分岐しています。

 横浜駅の先でJR根岸線を潜ったあとは高架橋となります。高架橋は前身の京浜電鉄が、1931(昭和6)年に完成させた戦前製のもので、この先の戸部駅まで続いています。戦前製の高架橋といっても鉄筋コンクリート(RC桁)なので、レトロな雰囲気はほとんどしません。地上だと細部の構造や意匠に古さを感じますが、さすがに上空からだと、せいぜい桁の数が多いなと感じるくらいですね。

Large 220314 keikyu 01

拡大画像

「戦争遺跡」として残る旧平沼駅。京急800形の下り列車が通過していく(2011年2月22日、吉永陽一撮影)。

 この高架橋で一ヶ所気になるところがあります。横浜市西区平沼一丁目にある旧平沼駅の存在です。旧平沼駅は1944(昭和19)年に廃止となった後、1945(昭和20)年5月29日の横浜大空襲によって被害を受けてしまいました。戦後は解体されることなくホームと階段の遺構を残しており、平成の中頃までは架線柱の役目をするアーチ状のホーム屋根鉄骨も残っていました。

Large 220314 keikyu 02

拡大画像

高層建築物がひしめく中でひっそりと佇む旧平沼駅。かつてはアーチ状のホーム屋根鉄骨があったが老朽化により撤去された。1500形の上り列車が通過する(2011年2月22日、吉永陽一撮影)。

 子どものころ京急に乗車して前面を眺めていたとき、朽ちたアーチ状の屋根鉄骨とホームの遺構が目に留まり、その姿が痛々しく感じたので鮮明に記憶しています。空撮するようになってから、「そういえば平沼駅の存在が気になるな」と、平沼一丁目の高架橋を狙いました。上からだと階段の様子やホームの形状がよくわかります。

Large 220314 keikyu 03

拡大画像

上空から旧平沼駅を見ると階段部分が残っているのが見える。2013年にはホームやコンクリート壁などの補修工事が実施されている(2011年2月22日、吉永陽一撮影)。

残り2420文字

この続きは有料会員登録をすると読むことができます。

2週間無料で登録する

Writer: 吉永陽一(写真作家)

1977年、東京都生まれ。大阪芸術大学写真学科卒業後、建築模型製作会社スタッフを経て空撮会社へ。フリーランスとして空撮のキャリアを積む。10数年前から長年の憧れであった鉄道空撮に取り組み、2011年の初個展「空鉄(そらてつ)」を皮切りに、個展や書籍などで数々の空撮鉄道写真を発表。「空鉄」で注目を集め、鉄道空撮はライフワークとしている。空撮はもとより旅や鉄道などの紀行取材も行い、陸空で活躍。

最新記事