「国際宇宙ステーションが落ちるぞ」は本当か ロシア宇宙企業トップの脅しを検証する

ウクライナ侵攻以来、ロシアは宇宙開発の分野でも情報を間引いて発信しているようです。そのまま捉えれば危機感を感じるものの、逆に間引かれた情報を補えれば、ISS含め、国際宇宙開発には大きな影響がないことがわかりました。

今すぐ軌道維持噴射が止まったら?

 仮に今、ISSの軌道維持ができなくなったとしましょう。それでも、地上に落ちてくるのには年単位の時間がかかります。2022年1月に、NASAは2030年頃のISS運用終了に向けてのロードマップ(International Space Station Transition Report)を発表しました。

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ISS軌道離脱計画。大気の状態に応じ3つの想定がある(画像:NASA” International Space Station Transition Report”11ページより)

 その中の図を見ると、2年から3年かけて自然に高度を落とし、最後に3回の最終離脱噴射を行って太平洋上に落下させる計画が示されています。高度を落とす時間に幅があるのは、地球の大気の状態が変化するためです。

 つまり、この間にISS参加国が知恵を絞って新たな軌道制御の方法を実現すればいいということであり、時間的な余裕はまだあります。すでにシグナス宇宙船があるものの、これを打ち上げるアンタレスロケットの1段目にはロシア製のエンジン「RD-181」が使われています。

 ロシアがこのエンジンの供給停止を予告していることから、もしかしたら打ち上げに影響が出るかもしれません。しかし、「スペースX」のドラゴン補給船を改良して軌道変更能力を持たせることが検討されるなど、それ以外にも複数の軌道変更手段が考えられており、それらを実現することで道は開けそうです。

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コメント

1件のコメント

  1. 無かったら困りますかね