自動車ブランドSAABなぜ消えた? アカデミー賞で話題 車が有名すぎる戦闘機メーカーの悩み
乗ればモテた? 日本のバブル期のSAAB
サーブ99の発展型として1978(昭和53)年に登場したサーブ900は、サーブ99の特徴であった独特のデザインと、ターボチャージャー付きエンジンによる高い走行性能に加えて、アメリカ市場を意識した2ドアカブリオレモデルが好評を博したこともあって、生産終了までに90万8817台が生産されるヒット作となりました。
サーブ900はバブル経済期の日本でも、作家の五木寛之氏が作品で取り上げたことや、広告のイメージキャラクターとして使用されたことなどから、当時流行していたBMW3シリーズやトヨタ「ソアラ」などのハイソサエティー・カーとは一味違うクルマを求めていたユーザーからの人気を集め、当時は女性ウケの良い「モテ車」にその名を連ねていました。
サーブ900が「モテ車」となっていた1980年代中期から後期にかけての筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は、モテたいがために軍事趣味を封印しており、その頃サーブが新戦闘機JAS39「グリペン」を開発していたことなど一切知らず、「サーブ900を買ったらモテるかも……」と考えていたことを白状しておきます。
初代サーブ900は1993(平成5)年に生産が終了し、同年には二代目サーブ900が登場しましたが、二代目は資本参加していた米GMの傘下にあったドイツのオペルからの技術流用により、個性が損なわれてしまったといわれ、初代ほどのヒット作とはなりませんでした。
親会社のサーブは1990年代から防衛・セキュリティ部門の強化を目的とする事業の再編を進めており、二代目サーブ900がヒット作とならなかったことから、サーブは2000(平成14)年にサーブ・オートモビルをGMに売却しています。
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