水素or天ぷら油!? 「旅客機のCO2排出ゼロ」実現のカギは? エアバス・ボーイングの方針に違い
航空業界が一丸となって取り組む「二酸化炭素排出の削減」。将来的に「CO2実質排出ゼロ」のための有力手段が「水素エンジン」と「SAF」です。エアバスとボーイングでは、このアプローチに差が見られます。
エアバスで開発の「ゼロエミッション」機とは
航空分野のCO2(二酸化炭素)排出量は世界全体で2.6%といわれ、メーカーも航空会社も、この排出量を減らす努力を続けています。そのなかで将来的に「CO2実質排出ゼロ」のための有力な手段とされているのが、「水素エンジン」「SAF(持続可能な航空燃料)」のふたつ。これらに対し、世界2大航空機メーカーであるエアバスとボーイングは、異なった戦略をとっています。
エアバスでは2035年を目標に「ゼロエミッション」航空機の開発を進めています。同社がこの燃料とするのが水素です。
2020年9月にエアバスが発表した水素エンジン機の3機種は、改良したガスタービンエンジンで水素を燃やして推力を得るハイブリット型を採用。一番大きな200人以上乗りの機体には、エイのような形状が特徴の「複合翼(ブレンデッド・ウイングボディ)」という斬新なデザインを打ち出しました。空気抵抗が少なく実用的に見えるこのデザインは、いかにも“未来の航空機っぽい”ルックスで、水素エンジンは機体の外形さえも変えるのかと想像が湧いてきます。
一方、同時に発表されたほかの2機種は、現代のジェット機とターボプロップ機をベースにしたであろう形状で、ともに窓のない機体後部に燃料タンクが載ると思われます。
これらの計画は実現に向けかなり進んでいるようで、エアバスは2022年2月に、A380の初号機(MSN001)を、この「水素エンジン」のテスト用デモンストレーター機(実験機)として使うと公表しました。
ただ、一方で「水素で飛行機を飛ばす」ことには、クリアしなければならない課題があるのも事実です。
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