水素or天ぷら油!? 「旅客機のCO2排出ゼロ」実現のカギは? エアバス・ボーイングの方針に違い

「水素航空機」の課題とは? 一方「SAF」とはなんなのか

 たとえば日本でも、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が「水素航空機」の開発に取り組んでいますが、摂氏マイナス253度という極低温で水素を貯める燃料タンクが必要であることに加え、今の航空機エンジンの設計からどれほどのアップデートを加えれば、今と同じように燃焼できるエンジンになるのかも重要なポイントでしょう。

 また、同社の「ゼロエミッション」機の胴体形状それ自体も、後部を燃料タンクにした場合、機体サイズに比して乗客が少なくなる課題もあるほか、複合翼機の場合は、空港側の設備の改善が必要になる可能性もあります。

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SAF燃料で運航されたANA機(乗りものニュース編集部撮影)。

 対して、もうひとつの「CO2削減」の有効なカードになると予想されるSAFは、飛ばす機体のサイズも航続距離も制限はありません。

 SAFは現行のジェット燃料と同じクオリティを保ちつつも、その原料となるのは、たとえば使用済み食用油や肉の脂身、微細藻類などです。我々の生活で使用された物質を含む、かなり広い分野のものを原料にできることから、地中に埋蔵される化石を原料とする現在のジェット燃料より大幅にエコなものとされますが、そのぶん、精製や貯蔵にノウハウも必要です。

 SAFは、欧州でひと足早く普及にむけ動いているほか、日本国内でも、ここ数年で実験的にですが商用飛行に使用されるまでになりました。2022年3月には、国産SAFの普及へ向けてJALやANAなどの有志により、「ACT FOR SKY」という団体が設立されたのは記憶に新しいところです。

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