ロシア海軍120年ぶりの旗艦喪失 巡洋艦「モスクワ」沈没はダメダメな“ダメコン”のせい?

首都の名を冠した大型艦が沈没した意味

 こうして見てみると、いちばん考えられるのは、前述したように「ネプチューン」ミサイルが巡洋艦「モスクワ」の船体側面に命中し、それによって搭載していた「ヴルカーン」ミサイルなどが誘爆、舷側に大破孔を生じ、さらに天候の悪化でそこから艦内への浸水が増大。その結果、船体が大破孔側に傾斜してさらに浸水量が増加し、転覆沈没に至ったという推理です。

 あるいは、天候の悪化がなかったとするなら、浸水を完全に抑えることができず、じわじわと続く浸水によって船体が大破孔側に傾斜し、同様の結果になったのかも知れません。

Large 220418 moskov 04

拡大画像

ミサイル巡洋艦「モスクワ」に対峙するウクライナ兵を描いた切手(画像:ウクライナ軍参謀本部)。

 なお、この「モスクワ」、1982(昭和57)年に竣工した当初は、「スラヴァ」級ミサイル巡洋艦の1番艦として「スラヴァ」という艦名でしたが、1995(平成7)年に「モスクワ」へと改名されています。

 つまり艦齢約40年という老朽艦ではありますが、その間に改修も施されており、一説によると防空システムは最新のものが備えられていたといいます。ならば自艦へと接近するウクライナの「ネプチューン」ミサイルを探知できそうなものですが、前述のとおり「ネプチューン」が終始シースキミング・モードで飛来すれば、その探知は難しかったとも考えられます。

 あくまでも、これらは事実を基にした筆者の推察です。ただいずれにしろ、艦名をわざわざ首都の名前に変更した黒海艦隊の旗艦を撃沈されたロシアとしては、「ミサイル巡洋艦1隻喪失」という数字上の実害以上に、大きな間接的被害を被ったことは間違いないでしょう。

【了】

【これなら安心?】ウクライナ国内で使われる装甲車改造の防弾救急車ほか

テーマ特集「ロシア軍のウクライナ侵攻 最新情勢 戦争はどうなっているのか」へ

Writer: 白石 光(戦史研究家)

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

5件のコメント

  1. 甲板がいくら爆発しても沈まないだろうし、リーク映像から喫水に当たったことは分かってる。
    そこから誘爆した可能性もあるけど、わざわざ二発撃ってるから、一発は甲板狙ってダメコンを妨げたんじゃないかと思われる。
    甲板に乗せるメリットは、誘爆→沈没になりにくいことだが、それをよく分かった上で、ウクライナ軍は「いつでも沈められるぞ」という心理的な効果を狙ったんだと思われる。

  2. エスコンの知識しかないんで4発くらいなら耐えられそうだと思ってた

  3. プーチンざまあ

    モスクワ沈没おめでとうございます

  4. fcxぢゅhvgcx

    • 乙ですざまあプーチン やはりウクライナつおい