ザ・商用車「プロボックス」誕生20年 なぜモデルチェンジしない? “無敵”だからさ!
モデルチェンジは「必要ない」ワケ
「プロボックス」の価格は、エンジン車で約150万円~、ハイブリッドでも約180万円~となっています。一方、トヨタで言えば「プリウス」や「アクア」にも商用ニーズがあり、それぞれの一番に安いグレードは法人向けがメインとなっています。「アクア」は先代にビジネスパッケージを用意していましたし、「プリウス」も先代モデルでは、旧型を法人向けに併売した歴史があります。
しかし、現在の「プリウス」のエントリーの価格は約260万円~ですし、「アクア」でも約200万円です。燃費の良いハイブリッドを「プロボックス」ならば約180万円から買えるのは、まさに破格。「コスパ」は最高です。
そして、「信頼・耐久性」という点では、トヨタに不安は一切ありません。「壊れない」ことにかけていえばトヨタは世界一と言っていいでしょう。
また、「プロボックス」はバンですから、荷室は当然のように広々としています。運転席まわりの装備と収納は、非常に凝ったもので、利便性は抜群。外身は変わらなくても中身は何度も改良が実施されていますから、今どきに必要な“自動ブレーキ”などの先進運転支援システムも完備。「実用性」も文句はありません。このように商用車に求められるニーズをしっかりと満たしているのです。
次に、売れ続ける理由はライバルの不在でしょう。商用バンは、社会の必需品として、トヨタや日産以外のメーカーも生産しましたが、ホンダ、三菱自動車、マツダは撤退。なかでもマツダは、「プロボックス」をOEM供給してもらって、「ファミリアバン」として販売しています。
つまるところ、現状で「プロボックス」のライバルなのは、日産の「AD」しかありません。また、日産「AD」もデビュー16年目ですから、フレッシュさという意味では「プロボックス」と変わりません。
「プロボックス」は、商用車に求められるニーズを満たすうえ、しかもライバルがほとんどなし。だからこそ、売れ続けている。そして作り続けられているということでしょう。
【了】
Writer: 鈴木ケンイチ(モータージャーナリスト)
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブ媒体にて新車レポートやエンジニア・インタビューなどを広く執筆。中国をはじめ、アジア各地のモーターショー取材を数多くこなしている。1966年生まれ。
27枚目の写真についてプロボックスとありますが、これはサクシードですね。
キーエンス「耐久テストなら任せろ」