「ウクライナ紛争は対岸の火事にあらず」元陸自トップが見たロシア侵攻 自立自衛の必要性

ロシアが侵攻を開始してから2か月が経過してもなお、先行きが不透明なままのウクライナ情勢。国連の常任理事国で、かつ核兵器の保有国である大国ロシアが起こした紛争の怖さを元陸自トップがひも解きます。

プーチンがウクライナ侵攻を決断した2人の発言

 これに猛反発したのがロシアのプーチン大統領です。ウクライナのNATO加盟阻止と、東部ドンバス地方のロシア系住民への虐待を阻止するという名目で、3月にロシアはウクライナ領であったクリミア半島をほぼ無傷のまま占領併合します。しかも、翌4月には親ロシア派武装勢力がドンバス地方においてウクライナ軍との間で戦闘を起こし、これにより東部ドンバス地方にドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国を創設したのです。このとき燻った民族対立が、今回の紛争の火種となったと言えるでしょう。

 2019年にはNATO加盟を公約にして、現大統領のゼレンスキーが当選しています。彼は憲法を改正してEUとNATO加盟を目指し、2021年9月にウクライナはNATO15か国と軍事演習まで実施し、NATO加盟への準備を整えるに至りました。しかもアメリカなどは対戦車ミサイルを始めとした各種武器を供与してウクライナを公然と支援するようになります。

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陸上自衛隊OBの火箱芳文氏。東日本大震災の発災時に陸上幕僚長の要職に就いていた(柘植優介撮影)。

 この頃のNATOはロシアの影響が強い東方に勢力を拡大しており、NATOとロシアは激しく対立していました。そのような中でウクライナとNATOが親密化したため、プーチン大統領の警戒は強まり、10月にはウクライナ国境に10万人規模の兵力を集めて大規模な演習を実施したのです。ただ、こうしてウクライナへ圧力を強めたことが、かえってウクライナ側の反発を招いたと言えるでしょう。

 ただ、プーチン大統領が侵攻開始を決断するに至ったのには、次のふたりの発言が挙げられます。欧米諸国は、ロシアが直接的な侵略行動に踏み切ることはないと判断していたため、アメリカのバイデン大統領は2021年12月8日、プーチン大統領と会談したのち「ウクライナで戦いが起きても米軍派遣は行わない」と全世界に発表しています。加えてNATO事務総長も「ウクライナには部隊を派遣しない」と明言しました。これら発言によりプーチン大統領はアメリカを始め、NATO諸国の直接介入はないと確信した結果、ウクライナ侵略を決心したと考えられます。こうして2022年2月24日、ロシアはウクライナへ侵攻を開始したのです。

 プーチン大統領が求めるのは、NATOの東方拡大阻止と、ウクライナを旧ソ連時代の状態に戻すことです。ウクライナを親露化させロシアの支配下に置き、地理的にNATOとロシアの緩衝国にしておきたいのです。

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ロシア軍のウクライナ侵攻 最新情勢 戦争はどうなっているのか

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