「ウクライナ紛争は対岸の火事にあらず」元陸自トップが見たロシア侵攻 自立自衛の必要性

日本有事でアメリカが参戦してくれないリスク

 台湾有事で南西諸島が戦域となった場合、直ちに自衛隊が対応するでしょう。一方で、アメリカは日米安保条約に基づき行動を起こすことになっているものの、どこまで支援してくれるかは、時の大統領の考え如何で変わる可能性があるのです。

 同盟が成立するには、価値、利益、リスクの共有がなければあり得ません。日米が価値や利益を共有していても、尖閣有事の際の相手は中国だとなると、核大国の場合何らかの支援はするものの、直ちにアメリカ軍を派遣して日本を守る行動を取ってくれるかどうかは極めて不透明だと言わざるを得ません。

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演習中の陸上自衛隊員。奥の車体は軽装甲機動車(画像:陸上自衛隊)。

 今回のウクライナに対するアメリカの対応から日本はリスクを考えておく必要があります。従って、南西諸島エリアの防衛については、まず日本単独で防衛する体制を整え、その上でアメリカ軍の支援を受ける体制を構築するという、共同作戦計画の立案が急務だと考えます。

 ウクライナは、ソ連邦崩壊後、米・英・ロとの間で安全保障の保証を得るとの覚書に署名し中立的立場で独立しましたが、自国は自ら守るということを軽んじてきた結果、ロシアの大規模な侵略を許してしまったと言えます。これからは、この冷厳な現実を直視し、日本は自立自衛のできる国造りに励む必要があります。

 国の安全をアメリカ頼み、国連中心主義におくのではなく、自分たちの国は自分たちの力で守るということを改めて覚悟すべきなのです。

【了】

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Writer: 柘植優介(乗りものライター)

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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