そば処信州 下手な店より「駅へ行け」? 駅そばの“数と質”が圧倒的な長野の鉄道

小さな駅にもそば店 地元民は駅へ行く?

 駅そば店が根付いているのはターミナル駅だけではありません。「なぜこの店に?」と驚くような小ぢんまりした駅にも、小さな駅そば店が息づいているのです。

 たとえば、しなの鉄道北しなの線 黒姫駅(信濃町)。1日の乗降客数は約500人、その多くが朝晩に集中する中、日中5時間だけ営業する「黒姫駅そば店」は開店と同時に多くの来客で賑わいます。

 同駅は2015(平成27)の北陸新幹線開業でJRからしなの鉄道に移管にされましたが、その直前にJR系列のそば店・売店が撤退。しかし駅周辺に飲食店が少ないこともあり、地元から再開の要望が強く、それまで店を切り盛りしていた方を信濃町が職員として雇用したうえで、駅の委託を請け負う「信濃町振興局」が運営を受け継ぐ形で、半年後の再オープンに漕ぎ着けました。この店では通常の麺(ゆで麺)と「特上」(生麺)の2種類を選ぶことができ、遠方から食べ比べに来る人も多いそうです。

 地元への密着ぶりでいえば、しなの鉄道線 戸倉駅(千曲市)の待合室にある「信州そばかかし」も負けてはいません。この店はそば・うどんだけでなく惣菜類も豊富に提供しており、カウンターには野菜の煮物や鮭の白味噌煮、天ぷらなどがぎっしりと並び、見た目は惣菜屋のよう。ピリ辛のもつ煮が何よりの名物で、ビールとの合い口は絶品です。

 ほか同線の沿線には、地元の要望に応じて、駅長が定年退職後に店を引き継いだという小諸駅の駅そば(清野商店)もあります。

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しなの鉄道の戸倉駅(宮武和多哉撮影)。

 松本の界隈では、JR篠ノ井線の村井や南松本(改装工事で休業中)といった住宅街の小さな駅前にて、松本駅弁を手掛ける「イイダヤ軒」がそば店を展開しています。また鉄道だけでなくバスターミナルだった「長野ターミナル」のように、乗り入れ路線の消滅でターミナルとしての機能をなくしても、そば店だけは健在(草笛・長野ターミナル店→真田丸)という場合も。

 県内の市中では観光客をターゲットにした単価の高いそば店も多いですが、香りの高い麺や出汁をほぼワンコインで味わうことができる駅そばは、駅周辺の住民にとって「気軽にそばを食べたい」という需要に応える場所としても機能しているのだそうです。

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コメント

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1件のコメント

  1. 地元民からしても、下手なそば屋に行くくらいなら駅そばを勧めてたなぁ。
    ただ、チェーン店になってから店員は変わらなくても味は確実に落ちた。
    正直にもう行かないレベル。