“黒海でロシア艦隊撃滅”の先にあるもの ウクライナが決して譲れないワケ 長期化必至か

海軍戦力を喪失しているウクライナ軍は、今のところミサイルやドローンでロシア黒海艦隊の戦力を減殺中です。黒海北西部で進行するこれらの戦闘に注目してみると、戦争の長期化が現実味を帯びてきます。

ウクライナによる対艦ミサイル攻勢

 ここで、ウクライナの海軍戦力について見てみましょう。旧ソ連崩壊後、黒海艦隊は分割されウクライナ海軍にいくつか艦艇が移譲されました。ただ、スラヴァ級ミサイル巡洋艦「モスクワ」の同型艦「ウクライナ」は、建造中にウクライナへ譲渡されるも財政難で未完成のまま、現在はムィコラーイウに係留されています。残りの艦艇はロシア軍に接収され、結局ウクライナ海軍は戦力を喪失しました。

 このようにウクライナ海軍の水上戦力は壊滅状態のため、対ロシア艦艇への攻撃は対艦巡航ミサイル「ネプチューン」や攻撃ドローン、航空機によるものです。なお、これらによって3月にタピール級揚陸艦「サラトフ」(当初の報道では「オルスク」)とラプター級高速哨戒艇1隻、揚陸艇2隻が撃破、4月にミサイル巡洋艦「モスクワ」が沈没しています。

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2022年3月29日、ロシア軍のロケット攻撃で破壊されたムィコラーイウ地方国家管理局(画像:ウクライナ国家緊急事態省)。

 5月に入り、ウクライナ軍はスネーク島と周辺海域で夜襲を含めた攻撃を強化しています。ウクライナ国防省の発表や映像からは、トルコ製の攻撃ドローン「バイラクタルTB2」などの無人航空機や戦闘機Su-27「フランカー」のミサイルと爆弾で、ラプター級高速哨戒艇2隻、セルナ級揚陸艇1隻、防空ミサイル・システム「トール」を含む地上施設を破壊しています。

 5月12日にはオデーサ沖で補助艦「フセヴォロド・ボブロフ」が、ネプチューンで大破したと発表がありました。同艦はサンクトペテルブルクで2隻建造された「プロジェクト23120」の2番艦として2021年8月に就役した新鋭艦です。輸送や被害艦艇の捜索・救助・医療支援を行う多目的艦艇で、黒海艦隊にとっては大きな痛手です。

 とはいえ「トール」のミサイルで迎撃可能な高度は6000m以下。「バイラクタルTB2」の上昇限度は7600mなので、探知されずに接近し防空システムを無力化するとともに、艦艇への攻撃を行っているようです。

 これらのことからロシアは防空システムが十分に機能しておらず、航空優勢を保持できていないといえるでしょう。

【ウクライナの切り札】ロシア黒海艦隊への対抗手段「ネプチューン」ミサイル

ロシア軍のウクライナ侵攻 最新情勢 戦争はどうなっているのか

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コメント

1件のコメント

  1. 第一次、第二次世界大戦中のドイツもそうだけど、こうした海軍が陸地によって戦力を分断されて集中運用できないのは、四方を海に囲まれた日本やイギリスにはなかなか理解しにくい戦略上の悩みの種だね。

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