竹林の踏切は車止めまで「竹」だった!? 京都の映えスポット 有名人も魅了し“事件”に
新緑の季節、特に観光客が多く訪れる京都・嵐山には、「インスタ映えスポット」になっている踏切があります。同踏切はクルマの通行が禁止されており、車止めが設置されていますが、それがかつては竹を模したものでした。
嵐山にあった「竹ポール踏切」
線路と交差する道路は踏切道と呼ばれますが、全国各地を巡っていると、実に様々な場所に踏切があり、地形や交通量に応じて踏切道にも細やかな配慮がなされていることに気付かされます。
現在も神社仏閣が多く点在する京都では、周辺の景観などに配慮して建物が建設されています。これに似た心遣いが、踏切道にも行き届いていた場所がありました。それは竹を模した車止めです。
嵐山は紅葉の季節に多くの観光客などでにぎわいますが、そのほか新緑の季節も高い人気を誇ります。京福電鉄の嵐山駅から嵯峨野観光鉄道にかけてのエリアは、荘厳な竹林が周囲を覆い、それが京都らしい雰囲気を醸し出しています。
そして、ここにはJR西日本の山陰本線と嵯峨野観光鉄道が走る踏切があります。竹林の中を歩いていると、急に踏切が現れる光景は人気があり、以前から多くの人が記念撮影に興じるスポットにもなっていました。
同踏切道は狭いため、クルマの通行は禁じられています。歩行者やバイク、軽車両専用です。京都らしく、軽車両に相当する人力車が横断する光景を見ることも珍しくありません。そして車止めは、周囲の風景に溶け込むかのようにして足元に設置されていました。
筆者(小川裕夫:フリーランスライター・カメラマン)は、「こうした人知れないところにも気を配り、それが京都らしい雰囲気を保っている」としみじみ感じたものでしたが、踏切を撮影する観光客の多くは、例え車止めが踏切の一部であれ、気にする様子はありませんでした。竹を模した車止めは2008(平成20)年頃に撤去されてしまったようで、現在はいたって普通のポールです。
同踏切は現在も「インスタ映えスポット」として人気ですが、過去には女性タレントがブログに掲載する写真を撮影するために線路内へ立ち入ってしまい、それが事件化したこともあります。竹林に囲まれた小径を歩いていると突如として現れる幻想感は、「撮り鉄」でなくても強く惹かれてしまうほど美しいようです。
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Writer: 小川裕夫(フリーランスライター・カメラマン)
フリーランスライター・カメラマン。1977年、静岡市生まれ。行政誌編集者を経てフリーに。官邸で実施される首相会見には、唯一のフリーランスカメラマンとしても参加。著書『踏切天国』(秀和システム)、『渋沢栄一と鉄道』(天夢人)、『東京王』(ぶんか社)、『私鉄特急の謎』(イースト新書Q)など。
踏切の遮断管は、だいたいどこも竹なんだけど。