「水素をガソリン並みの価格に」実現なるか 完成近い大型液化水素運搬船 流通の要に?

まだまだ高い液化水素

 川崎重工が大型液化水素運搬船の開発に取り組む背景には、水素の大量消費を支える供給手段を確保する目的があります。

 政府がカーボンニュートラルの切り札として掲げる水素エネルギーは、すでに乗用車やバス、鉄道車両のようなモビリティだけでなく、発電や製鉄、航空・舶用燃料といった分野でも利活用に向けた研究開発が進んでいます。川崎重工は「水素需要の拡大のカギは発電利用」としてガスタービンによる水素燃料100%の発電実証を2024年中に始めるほか、三菱重工業も水素ガスタービンの早期商用化に向けた水素発電実証設備を同社高砂製作所に整備する方針を発表しています。

 一方で経済産業省や資源エネルギー庁の資料によれば、現在の水素の供給コストは1ノルマル立方メートル(Nm3。気体の体積の単位)当たり約100円と、天然ガスの約13.3円/Nm3に比べて非常に高く、水素エネルギーの導入を進めるにはコストの問題を避けて通ることができません。

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大型液化水素運搬船のAiP授与式(深水千翔撮影)。

 川崎重工の本井達哉執行役員(船舶海洋ディビジョン副ディビジョン長)は「水素供給コストの低減に大きく寄与できるのが大型液化水素運搬船だ」と話します。同社は、海外で水素を大量に製造し、それを大型の船舶で国内に輸入することでコストを下げられるとしています。

「カーボンニュートラルの実現には水素のコスト低減が重要な要素。2030年には30円/Nm3まで引き下げることを目標にしている。2050年には液化水素の流通量拡大により20円/Nm3となり、LNGや石油と同じレベルまでコストを下げることが可能だと考えている」(本井執行役員)

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