「兄弟車」まだ必要? ノア/ヴォクシーはなぜ残ったか “中身同じで別車種”戦略の意義
どっこい残った「ノア/ヴォクシー」そのワケは
そして、トヨタ兄弟車の最後の砦となったのが「ノア/ヴォクシー」です。しかし、この最後の兄弟車は、意外にしぶとく生き残りそうな気がします。
なぜなら、「ノア/ヴォクシー」の属するミドルクラスのミニバンは激戦区。ホンダの「ステップワゴン」に日産の「セレナ」という強敵が待ち受けます。そして、それらのライバルは、同じ車種内に「キャラクター違い」のグレードを用意しているのです。「ステップワゴン」でいえば「エア/スパーダ」、「セレナ」でいえば「セレナ/ハイウェイスター」です。中身は同じでも、顔つきはけっこう異なります。
そうしたライバルに対抗するにはトヨタも「ノア/ヴォクシー」という2つのキャラクターが必要になります。つまり、2つの顔を持つライバルがいるため、「ノア/ヴォクシー」をひとつに整理できないというわけです。
もしも、ミドルクラスのミニバンの戦いが沈静化すれば、「ノア/ヴォクシー」の整理もあり得るでしょう。しかし、当分の間は、それもないはず。
逆に「共同開発」や「OEM供給」「ブランド違い」は、自動車メーカーが生産の効率化と利益を追求するうえで、これからさらに重要になってくるはず。そういう意味で「キャラクター違い」以外の兄弟車は、まだまだ続くことでしょう。
【了】
Writer: 鈴木ケンイチ(モータージャーナリスト)
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブ媒体にて新車レポートやエンジニア・インタビューなどを広く執筆。中国をはじめ、アジア各地のモーターショー取材を数多くこなしている。1966年生まれ。
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