欧州「戦車分布」に見る各国関係の複雑怪奇 ウクライナ侵攻からどう描き変わる?

EUに代表されるように、ヨーロッパ各国はかつての反省からか、長年にわたり連帯しようとする動きが見られますが、一方で各国の戦車保有数を見れば、そのホンネが透けて見えてきます。最新の露ウ情勢も含め、その分布図を見ていきます。

戦車保有数に見える「お隣さん」との関係

 ヨーロッパの戦車分布図を見ると2020年現在、予備保管を含まない現役戦車は全体で1万4000両程度とされ、冷戦期に比べると半分以下になっています。

 冷戦期には最前線だった戦車王国ドイツは、西ドイツだった当時2000両以上を保有していましたが、現在では「レオパルト2」のみで245両まで減っています。ドイツと国境を接し歴史的に何度も矛を交えてきたフランスも「ルクレール」が222両です。両国は現在、軍事的緊張関係にはありません。

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トルコのレオパルト2A4。最近では戦車や装甲車の国産化に力を注いでいる(画像:トルコ国防省)。

 一方で注目なのが南部のトルコとギリシャです。トルコが2300両以上で現在のNATOにおける戦車王国です。バルカン半島の先端で海洋国家のイメージがあるギリシャでも1200両以上の戦車を持っています。いずれも主力が「レオパルト2」のバリエーションです。

 両国は国境を接しており、同じNATO加盟国なのですが外交関係は険悪です。アメリカがNATOの結束を維持するため、両国の調整に心を砕くかたわらで、双方に戦車を売却したドイツのビジネスセンスが目を引きます。トルコがロシアからS-400対空ミサイルシステムを導入し、F-35統合戦闘機プログラムから排除されるという問題児ぶりを発揮したのは記憶に新しいところです。

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ギリシャ陸軍のレオパルト2A6。海洋国家のイメージだが強力な戦車戦力を有する。迷彩塗装が独特(画像:ギリシャ国防省)。

 2022年5月現在、砲火を交えているロシアとウクライナの周辺事情も単純ではありません。ロシアにとって対西側の最前線は、北はバルト三国からポーランド、ウクライナを経て南はトルコまで形成されています。

 バルト三国やポーランドにはNATOが、敵侵攻の抑止や防衛体制の強化を目的とする方針「EFP(増強前方プレゼンス)」により機甲部隊を派遣しています。バルト三国は国力も小さく、戦車を保有していませんのでEFPが頼みの綱です。

 ポーランドは、冷戦時代は東側でしたが、歴史的には何度もロシアと戦っています。東側時代から装備していたT-72を「レオパルト2A5」と交代させていますが、その余剰となったT-72をウクライナに送り外交得点を稼ぎつつ、アメリカからより強力なM1「エイブラムス」を購入するという、トコロテン式で自国の機甲戦力も補強を図っています。

【図説】ヨーロッパ主要国戦車分布図 2020年版

ロシア軍のウクライナ侵攻 最新情勢 戦争はどうなっているのか

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