創業58年 時が止まったようなバス会社のドライブインに起きた奇跡 “エモさ”で人気沸騰

大川オアシスの親「大川バス」 高速道開通→衰退をかろうじて凌ぐ

 香川県東部でバス事業を展開する大川バス(大川自動車)が大川オアシスを開業した1964(昭和39)年は、日本中が東京オリンピックの話題で持ち切りとなっていた頃。開業直後には、2車線に拡幅されたばかりの国道11号を、聖火が通過したといいます。

 大川オアシスは、その親会社の影響もあり、バスの要衝としての役割も果たしていました。香川~徳島を移動する際にはちょうど中間地点でもあり、当時運行されていた「高徳特急バス」(高松駅前~徳島駅前)や観光バスは、ここを休憩地点として活用。三本松(東かがわ市)方面に向かう通常の路線バスも1時間に1、2本ほど発着していました。

 もちろんマイカー派にも重宝され、地元の方いわく、デートなどのちょっとしたドライブで「とりあえず大川オアシスで折り返し」という形がよくとられていたとのこと。この場所はいろんな方々にとって、まさに「オアシス」だったと言えるでしょう。

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大川オアシス、カフェスペースのオープンキッチン(宮武和多哉撮影)。

 しかし2003(平成15)年には高松自動車道が全通し、渋滞が多発していた国道11号は一転して閑散とすることに。さらに、ここを発着していた路線バスも2008(平成20)年までに大川バスの全路線が撤退し、高徳特急バスも「高徳エクスプレス」と名前を変えて高速道路経由に。周辺のドライブインや喫茶店は次々と閉業するなか、さらに至近距離に道の駅が開業したことで、大川オアシスの売上は半減してしまいます。

 それでも、広い宴会場を擁していたため地元需要を掴んで生き残っていたものの、2020年からのコロナ禍でそれも途絶え、長らく経営を続けてきた店長さえ「もう駄目だ」と覚悟を決めていたそうです。

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