「ANA」なぜ呼び名たくさん? エイ・エヌ・エー/アナ/全日空…更に惑わす便名「NH」
空港で見る「NH●●便」…どういうこと?
旅客機の便名は、エアライン名を示すアルファベットなどと、便の数字で構成されています。前者のアルファベットは、2桁の「2レターコード」と3桁の「3レターコード」があります。前者の2レターコードは世界のエアラインが中心となって組織されているIATA(国際航空運送協会)が与えるもので、空港などの電光掲示板の表示などでよく見ることができ、旅客便の運航をスムースにするための記号でもあります。
この「NH」は、ANAの祖先となる「日本ヘリコプター輸送(通称:日ペリ)」の名称に由来します。2レターコードは「“N”ippon “H”elicopter」を略したもので、日ペリから使用され続けています。なお、3レターの場合は「ANA●●便」です。
なお、3桁のアルファベットが示すエアラインは、国際連合の下部機関であるICAO(国際民間航空機関)という政府間の調整を行う機関が発行するもの。フライトプランの提出に必要なもので、航空管制にも使用します。
ちなみに、現在のANAの旅客機の塗装デザインは、1982年からほとんど変わっていません。2色のブルーの斜めラインが後方にせり上がっていくデザインは秀逸だと思いますが、すでに40年以上経過しているとは思いませんでした。ただ、筆者はその前のレオナルド・ダ・ヴィンチのヘリコプターのロゴが描かれた「モヒカン塗装」も好きです。
ただし、現行の塗装はベースデザインこそ同様ですが、実は胴体に描かれているロゴが2003年ごろから「全日空」から「ANA」に変更されています。これは、かつて国内線を主として運航していたANAが、国際線への進出を図る意図がこめられているとのことです。
【了】
※一部修正しました(6月5日10時30分)。
Writer: 種山雅夫(元航空科学博物館展示部長 学芸員)
成田空港隣の航空科学博物館元学芸員。日本初の「航空関係専門学芸員」として同館の開設準備を主導したほか、「アンリ・ファルマン複葉機」の制作も参加。同館の設立財団理事長が開講した日本大学 航空宇宙工学科卒で、航空ジャーナリスト協会の在籍歴もある。
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