市販「Eバイク」ウクライナ軍で重宝 かつてとは異なる現代銀輪部隊に求められるもの

Eバイク、日本では「モペット」の呼称が一般的なペダル付き電動バイクが、現代戦の繰り広げられるウクライナで重宝されているそうです。しかも市販品がほぼそのまま使われているとか。そこには戦況および現代戦ゆえの理由がありました。

武器は機動力! Eバイクがウクライナの戦場を駆ける

 クルマに乗車中、道路が渋滞しているなかでもすり抜けるように前進するバイクの姿は羨ましいものです。バイクの最大の特長は小さく機敏なことにあるといえるでしょう。

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デルファストのダニエル・トンコピCEOがFacebookで公開した、同社製Eバイク+NLAWを装備するウクライナ兵(画像:ウクライナ軍/ダニエル・トンコピ/一部加工)。

 このメリットはミリタリーの分野でもいかんなく発揮されます。バイクは偵察任務に適しており、陸上自衛隊も「偵察用オートバイ」を配備しています。アメリカ陸軍は特殊作戦用のバギー車こそ装備しているものの、偵察用オートバイは持っておらず、陸自と合同演習を行うと偵察用オートバイの威力に驚くといいます。

 ロシア軍の侵攻を受けるウクライナでもバイクが活用されていますが、その中には「Eバイク」と称されるペダル付き電動バイク、いわゆるモペットもあります。物資輸送や連絡、偵察監視任務だけでなく、これに携帯対戦車火器を組み合わせてロシア軍の戦車狩りにも使われているそうです。

 Eバイクのメリットは高速機敏であることに加えて、内燃機関搭載車両に比べ静粛性に優れ発熱も少ないため、ステルス性に優れることです。おもにエンジンが発する熱は、多くの戦車も装備するサーマルセンサーで感知され、真っ暗闇でも林の中でも居場所を露呈してしまいます。ちなみに「ジャベリン」対戦車ミサイルも、エンジンや排気ガスなど車体の熱線画像イメージ(熱を発する物体を画像化する)をミサイルが記憶する誘導方式です。Eバイクは内燃機関ほどの熱を発しないので、そのサーマルセンサーにも捉えられにくいのです。

 Eバイクのこのステルス性の高さが、秘かにロシア軍戦車に忍び寄り対戦車ミサイルで一撃し高速で離脱する、いわば「現代戦の忍者」のような戦法を可能にしているというわけです。

【写真】本来の姿は…街なかのデルファストEバイク「Top 3.0」を見る

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