ロシア戦車の欠陥? 実は評価の割れる「自動装填装置」 そもそもどういうものなのか

ウクライナ情勢を巡る報道のなかで、ロシア戦車の自動装填装置について語られるのを目にします。そもそも、戦車の自動装填装置とはどのようなものなのでしょうか。そのメリット、デメリットなどを見ていきます。

自動装填装置はロシア戦車の欠陥なのか

 2022年2月に始まった、ロシアによるウクライナ侵攻開始から3か月が経過しました。戦況以外にも様々な事柄が報道されていますが、その中に、損害が増えているといわれているロシア戦車の欠陥を指摘するものも見受けます。回転式砲塔の内部に多数の弾薬を搭載する「カルーセル式」と呼ばれる自動装填装置がその欠陥である、という内容ですが、そもそも「自動装填装置」とはどういったものなのでしょうか。

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1983年の十月革命記念パレードに参加するT-72戦車(画像:Thomas Hedden、Public domain、via Wikimedia Commons)。

 自動装填装置とは、その文字で想像のつく通り、砲弾を人力以外の動力で装填する装置のことです。元々、戦車特有の装置ではなく、艦船の方が先に装備していました。

 なぜ戦車に採用されるようになったのかというと、まず人員削減という狙いがありました。同装置の登場以前、戦車は一般的に車長、砲手、操縦手、装填手の4人乗りでしたが、装填手が必要なくなり、3人乗りにすることができます。

 もうひとつの目的として、大口径化が進み、大型かつ重量も増大していた戦車砲の砲弾を、人力で装填する困難さを軽減し、装填速度を上げるという狙いもありました。実は第2次世界大戦中から、戦車砲弾の大型化は著しいものがあったのです。

 このような理由から、自動装填装置の試作が各国で試みられていました。本格的な導入は、旧東側ですと1960年代にソビエト連邦が開発したT-64戦車からで、西側では1980年代から1990年代に登場した第3世代主力戦車から装備されるようになります。日本の自衛隊では90式戦車がそれにあたります。

 ソ連式と西側の自動装填装置には構造的な違いがあり、ソ連式は砲塔下部(砲塔が車体に収まっている部分)にある円形の弾薬庫が回転しながら砲弾を供給する「カルーセル式」、西側のものは砲塔上部後方の「バスル」に収納している砲弾を、ベルトコンベヤーなどを利用して装填する方式となっています。

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