ロシア戦車の欠陥? 実は評価の割れる「自動装填装置」 そもそもどういうものなのか
自動装填装置 実は便利なことばかりではなく欠点も
とはいっても、西側の戦車は2022年現在でも、すべての国の主力戦車が自動装填装置を採用しているわけではなく、自衛隊の90式戦車、10式戦車のほか、フランスの「ルクレール」、韓国のK2など一部の国に見られるだけです。なぜそうなっているかというと、自動装填装置はメリットばかりではないからです。
まず、自動装填装置を備える車両は、備えないものに比べ携行弾数が少なくなる傾向にあります。自動装填装置のないイギリスの「チャレンジャー2」戦車の携行数は49発、10式戦車は、小型なこともありますが、40発程度といわれています。
しかし、そもそも砲の大型化の影響で、以前の世代の戦車より、現在の戦車の携行弾数は減少傾向にあるので、この傾向に関し自動装填装置の有無の影響は限定的なものかもしれません。
次に、携行弾数以上に大きな問題として、乗員をひとり減らすということそのものにデメリットがあります。
戦車の乗員は、戦闘だけをするわけではありません。移動中の簡易的な整備、点検は自身たちでしなければならず、そして2022年現在は動力系や火器、弾薬のチェック以外に、射撃などを支援するコンピューター類の点検など、その手間も増えています。
さらに、停車中のカモフラージュや陣地の構築も乗員の仕事です。一時的なカモフラージュならちょっと大変くらいで済むかもしれませんが、長期間滞在する陣地の構築となると、場合によっては戦車が収まるような大きな穴を掘る必要性も出てきます。この際、人手がひとり減るというのは結構な問題です。
戦闘中についても、仮にひとりが負傷したとして、乗員が3人と4人とではかかってくる負担が大きく異なります。そのためイスラエル軍のように戦訓として「戦車が生き残るには最低4人の乗員が必要」と考える国もあり、あえて自動装填装置を採用していない国もあるのです。
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