70年願い続けた「空母」ついに海自へ 創設直後からの保有計画 なぜ挫折続きだったか

空母と見紛うシルエットの輸送艦が誕生

 とはいえ、ヘリ空母の必要性は1970~80年代でも認識されており、1973(昭和48)年の海上幕僚監部調査部内参考資料では「日本の海上交通路確保は、アメリカ第7艦隊の空母に頼るしかない。しかし、アメリカ空母を日本の都合で拘束はできず、不在時には国防上、重大な穴が空く」との認識が示されています。

 なお、水上艦隊は航空機の攻撃に弱いため、イギリスが開発した垂直離着陸戦闘機「ハリアー」のような敵の攻撃機を遠方で迎撃できる艦載向きの戦闘機は、海上自衛隊の弱点をカバーするうってつけの装備とも考えられていました。

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空母型の外観を有して就役した、おおすみ型輸送艦(画像:海上自衛隊)。

 こうしたなか、1980年代後半にも空母導入の動きがありましたが、やはり政治判断で見送られます。変化が生じたのは1993(平成5)年の計画艦に「全通飛行甲板」を持つ、おおすみ型輸送艦が盛り込まれてからです。

 おおすみ型は1998(平成10)年から2003(平成15)年までのあいだに3隻就役しましたが、艦上作業に不慣れな陸上自衛隊のヘリコプターに配慮し、艦上の障害物を除去した結果、船体前部の第1甲板から後部の飛行甲板まで一体となった全通式の最上甲板を持つ空母型の自衛艦が実現しました。

 その後、2009(平成21)年に就役したひゅうが型護衛艦では、基準排水量1万3950トンの大型船体に、ヘリコプターを最大11機搭載できる空母形状の船型が採用されています。

【写真】海自護衛艦「いずも」でのF-35B発着艦テストの様子ほか

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コメント

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7件のコメント

  1. やはりアメリカ海軍の中にも あまり日本の海軍を強くしすぎるということには警戒感があったのではないか。 横須賀母港のアメリカ空母は、 20年もミッドウェーという名前の空母だった。 もう二度と逆らうなよという無言の圧力だった気がしてならない。

    • こんな船素手で一瞬で沈めてやんよ、ミッドウェー再現してやんよ。調子乗ってるジャプども悪夢見せてやんよ。まじやってやんよ。

  2. 日本にもちゃんとした正規空母が建造される日が来ることを願っています

  3. 次は「ふそう、やましろ」あたり?
    「ひゅうが、いせ」より古いかw

    となると「むつ、ながと」で。

  4. F-35B搭載のいずも型と、ヘリと空中給油機ユニット付きのV-22搭載ひゅうが型を組み合わせて、何とか艦隊航空として格好がつく。
    後は、DDH、輸送艦、掃海母艦を兼ねるおおすみ型、うらが型の代艦が何隻揃うかだ。

  5. いずも、かがと来たら
    ひゅうが、あかぎも欲しいですね!

    中国海軍が空母「福建」を建造したりと軍備増強を加速させているので、戦争を防ぐ抑止力を持つのは当然でしょう。

    • 「ウクライナの教訓」暴力に対抗するために、自らを強く保つ事は絶対必要。殴ってきたら倍返し出来る力があってこそ、独裁者の無謀な侵攻に抑止力が働くのだと思う。