乗り気じゃなかった? 日本艦隊ヨーロッパ派遣の残響 マルタ島の慰霊碑が物語る世界の評価

今から約100年前の第1次世界大戦で、旧日本海軍は遠く地中海にまで艦隊を派遣しました。なぜ行くことになったのか、その経緯と戦果、戦後の影響について軍事同盟だった日英同盟を背景に、旧日本海軍はどう対応したか紐解きます。

Uボートの雷撃で駆逐艦「榊」が大破

 当時、連合軍の護衛艦艇は商船が魚雷で攻撃されると、自分も攻撃を受ける危険性が高いため生存者を救出しませんでした。しかし日本から来た第二特艦隊は、逆に救出を積極的に行ったことから、連合国の商船サイドから船団護衛を直々に要望されることもあったそうです。

 なお、船団護衛に当たって第二特務艦隊は、イギリス海軍から浮遊式機雷掃海具「プラベーン」を供与されています。これは海底に繋留された機雷のワイヤーを手繰り寄せて、ブイに取り付けられたカッターで切断、浮き上がった機雷を銃撃して処分する装置です。のちに第二特務艦隊はこの掃海具を持ち帰ってコピーを作り、それが現代の海上自衛隊に続く日本の掃海技術のルーツになりました。

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桃型駆逐艦の3番艦「檜」。1917年から1919年まで地中海の海上護衛に従事した(画像:アメリカ海軍)。

 船団護衛を始めて間もない1917(大正6)年6月に、駆逐艦「榊」がオーストリア=ハンガリーの潜水艦U-27から雷撃を受けます。「榊」は艦首を失ったほか、艦長以下59名が戦死しました。かろうじて「榊」は沈没を免れ、イギリス駆逐艦の手助けを得て近くのクレタ島まで曳航され、たどり着きました。

「榊」の戦死者はマルタ島に埋葬されたことから、彼の地には現在も慰霊碑が残っています。

 第二特務艦隊の作戦は、第1次世界大戦の終結まで続きました。彼らは連合国の間で高く評価され、このことは終戦後に設立された国際連盟で、日本が常任理事国になるきっかけの1つにもなったのです。

 2022年は日英同盟の締結から120周年の節目の年です。その日英同盟に基づくイギリスの要請に応じて遠く地中海まで派遣された、当時の日本艦隊に、現在の世界情勢と合わせて思いを馳せるのも良い機会かもしれません。

【了】

【Uボート攻撃受けた「榊」&第二特務艦隊の旗艦を務めた装甲巡洋艦「出雲」】

Writer:

軍事雑誌や書籍の編集。日本海軍、欧米海軍の艦艇や軍用機、戦史の記事を執筆するとともに、ニュートン・ミリタリーシリーズで、アメリカ空軍戦闘機。F-22ラプター、F-35ライトニングⅡの翻訳本がある。

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