「無人戦車の時代」ついに到来か 陸でも変わる戦い方 展示会で見えた“近い将来”

ドローンなどの無人機を当たり前のように使用する時代、それは空だけでなく、陸でも近づいています。欧州の展示会にて、近い将来の“戦い方”の一端が垣間見えました。

空の「ウィングマン」に置き換えてみよう!

 地上を走行する戦闘車両はウィングマンなのか? というツッコミも入れたいところですが、確かに、防衛省が航空自衛隊のF-2戦闘機の後継機として開発を進めている次期戦闘機は、偵察や攻撃を行うUAS(無人航空機システム)と行動を共にすることを想定しています。

 有人戦闘機と行動を共にするUASの研究開発は、アメリカやオーストラリア、ヨーロッパ諸国などでも進められており、欧米ではそうしたUASを「ロイヤル・ウィングマン」(忠実な僚機)と呼んでいます。

 つまり、陸のUGVへの「ウィングマン・トゥ・メカナイズド・ユニット」というキャッチコピーから、ミルレム・ロボティクスがType-Xを基地警備やコンボイの警護だけでなく、機械化部隊を構成する戦車や歩兵戦闘車と行動を共にして、本格的な戦闘を行うUGVへと進化させるという考えを見て取ることができるのです。

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正面から見たType-X(竹内 修撮影)。

 今回のユーロサトリではドイツのラインメタルが新型戦車KF51「パンター」を出展していますが、この戦車はUGVまたはUASの指揮統制を行う乗員が搭乗できるスペースを備えています。また、イギリスのチャレンジャー2戦車の改修型「チャレンジャー3」や、ドイツとフランスが開発を進めている将来戦闘車両「MGCS」なども、戦闘用UGVとの協働を視野に入れています。

 将来の機甲部隊や機械化歩兵部隊は、1両の戦車や歩兵戦闘車が複数の戦闘用UGVを引き連れて戦いに臨む――このような形へと変わっていく可能性は十分あると筆者は思います。

【了】

【将来の姿?】有人+無人戦車で戦うの図 画像で見る

Writer:

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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