「新世代機ではありません」韓国初の国産戦闘機「KF-21」のしたたかな“戦略的謙遜“とは?

「韓国初の国産戦闘機」と称されるKF-21「ポラメ」が初飛行しました。この機は製造元が、最新世代機である「第5世代」としていないのがポイントです。この“謙遜”には、韓国一丸となった狙いがありました。

「第5世代」と評価する年鑑もあるのに

 2022年7月19日に初飛行に成功した、韓国・KAI(韓国航空宇宙産業Korea Aerospace Industries, LTD)の新型戦闘機KF-21「ポラメ(若鷹)」は、アジアでは中国に続いて2か国目となる実用ステルス機で、韓国にとっては、初めて戦闘機型から開発した記念すべき機体です。
 
 この機については、性能ももちろんですが、さまざまな点で日本が注視するポイントがあると考えられます。その代表的なところが、製造元であるKAI自らが、KF-21を最新世代機として打ち出していないところです。

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泗川空港で初飛行したKF-21「ポラメ」戦闘機の試作機(画像:韓国防衛事業庁)。

 そもそも日本より先に実用機としてのステルス戦闘機を完成させた韓国は、以前から軍用機の開発に熱心に取り組んでいました。プロペラ練習機のKT-1を1993年に初飛行させ、2002年に初飛行した練習機T-50は、軽攻撃型のFA-50も含めて、フィリピンやイラクなど4か国へ輸出した実績を持ちます。T-50は技術協力のあったアメリカの一大航空機メーカー、ロッキード・マーチンとともに、現在ボーイング/サーブのT-7Aに決まった米空軍の練習機計画へエントリーもしていました。

 そして今回初飛行したKF-21についてKAIは、性能面での戦闘機の世代区分を性能にプラスアルファがあるとしつつも“第4.5世代”と称し、「F/A-18E/F『スーパーホーネット』やユーロファイター『タイフーン』といった第4.5世代戦闘機と、F-22『ラプター』やF-35『ライトニングII』といった第5世代戦闘機のあいだの能力を持つ」と説明しています。

 しかしながら、同機は輸出も考えられるため、「ステルス能力を持つマルチロール」と定義される“第5世代”とした方が高性能を印象付けることができますし、実際、海外の航空年鑑でも同機を“第5世代”と評している媒体もあるほどです。

【写真】KF-21初飛行の様子&全貌をさまざまな角度からたっぷり(21枚)

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コメント

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2件のコメント

  1. すでに5世代として活躍、売れている実績のある戦闘機があるのに、高くて実績のないしかも性能も至らない戦闘機を2030年代に送り出してどこに売るつもりなんやろ。仮に今市場に出せるとしてラフェールとかに明確に優位性が出せるのか?
    テンペスト共同開発してる日本に3周ぐらい周回遅れだと感じる。ただ、ノウハウを得ることで周回を詰めてくる感じはある

    • 2030年代になっても第4.5世代機の需要はなくならないと思う。予算や運用の絡みもあるので、先進国ならともかくハイテク技術を扱いきれない途上国や中小国を中心にしばらくは4.5世代機も使い続けられると思う。
      今は4.5世代機で良いけど将来は5世代機も欲しいって客にはウケるかもしれない。反対に本格的な新鋭戦闘機を欲する主要先進国にはウケないのでは。要するに日英とは狙ってる客層がそもそも違うと思う。