国会が動いた! 軽自動車の飛行機版「LSA」日本の空を飛ぶ 単独世界一周飛行中の少年が来日へ
日本にとっては大きな一歩、でも欧米と比べまだまだ未熟
実は、昨年、LSAに乗って女性として世界一周最年少記録を達成したマックの姉ザラ・ラザフォードも日本に立ち寄ろうとしたものの、前出の理由から来日することはかなわず、日本を迂回して飛んでいきました。しかし法改正によりLSAの飛行が実施可能な見通しが付いたことで、今回、ついにLSAが初めて日本の空を飛ぶことになります。
ただ、来月から条件付きながらLSAの飛行が可能になることは、日本にとっては大きな一歩であることは間違いありませんが、諸外国に追いつくにはまだまだ不十分です。たとえば、国内のLSAは管制塔のある空港には近寄ることができません。海外ではパイロットの資格次第ではLSAでも管制空域の飛行が可能で、管制塔のある空港において離発着が可能です。
なお、今回マック操縦のLSAは管制塔のある新千歳空港を利用しますが、これは外国籍のLSAが外国免許で飛来するため可能とのこと。これは法的に合理性を欠く大きな矛盾といえるでしょう。
海外ではパイロット養成の訓練機から自家用機まで、実用機として普及しているLSAですが、今回の通達で可能となる飛行にはまだまだ制約が多く、実用機として運用するには更なる大胆な法改正が必要になる見込みです。こうした点は来月の改正航空法の施行後に改めてふるいにかけて見てみたいと考えます。
ともあれ、来週に迫ったLSAの日本飛来は歴史的な出来事となることは間違いありません。世界一周を目指す若きパイロットを温かく迎え、大きなエールで次の目的地へ送り出してあげたいものです。
【了】
Writer: 細谷泰正(航空評論家/元AOPA JAPAN理事)
航空評論家、各国の航空行政、航空機研究が専門。日本オーナーパイロット協会(AOPA-JAPAN)元理事
コメント