空母のクルー=「レインボーギャング」って? 米海軍カラフル作業服の合理性 中国にも影響

レインボーギャングの成り立ちと由来

 空母の甲板作業員(フライトデッキ・クルー)は、前出したような見た目から「レインボーギャング」と呼ばれることもありますが、このカラーリングによるオペレーションの明確化、効率化は第2次世界大戦後のアメリカ海軍で始まりました。

 その後、この色分けはイギリス海軍やフランス海軍の空母運用でも導入されましたが、両国の空母は甲板作業員がそれほど多くないため、アメリカ海軍ほどの細分化は行われていません。

 ただし、近年急速に空母の運用を拡充している中華人民共和国(中国)海軍については、将来を見据えてなのか、アメリカ海軍と同じようにベストとシャツで異なる色を組み合わせる形を採用し、役割の明確化、細分化を図っています。

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飛行甲板に並んだデッキクルー。色の規定は上半身のみで下半身はバラバラ(画像:アメリカ海軍)。

 なお、アメリカ海軍を始めとして、各国海軍の甲板作業員は腕まくり厳禁です。なぜなら、エンジン排熱や油などでやけどを負ってしまわないようにするためで、同様に眼球を保護するためにゴーグルは必須とされています。

 ちなみに、海事用語では「ギャング」というのは荷役作業員のグループや港湾労働者たちを指す言葉です。そこから転じて、各種艦載機をさばく作業員の一団として、色とりどりの格好と合わさり「レインボーギャング」と呼ばれるようになったようです。

【了】

【色とりどり】空母の甲板作業員「レインボーギャング」たちをイッキ見

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Writer: 柘植優介(乗りものライター)

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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コメント

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1件のコメント

  1. ナショジオでもカラーギャングを扱ったドキュメンタリーがあって、その中で艦橋からカラーギャング達に命令を出すとき、駒替わりのボルトやナットをカラーギャングに見立てて、まるでボードゲームのように動かしていました