ボーイングとエアバス、操縦どう違う? JAL初の新エアバス機「A350」機長に聞く 最初は「本当にびっくり」
JALが初の新造エアバス機として導入した旅客機「A350」。それまでボーイング製の旅客機を運航してきた同社のパイロットにとって、どのような違いがあったのでしょうか。その差はコクピットの各所にありました。
全く違う形の操縦桿…パイロットから見ると差は?
そしてエアバス機とボーイング機の操縦室のなかで、もっともわかりやすい違いのひとつが、操縦桿です。
A350をはじめとする現行のエアバス機は各操縦席横に設置する「サイドスティック」タイプを採用している一方で、JALが運航してきたボーイング機の操縦桿は、クルマのハンドルのような「コントロールホイール」タイプのものでした。
仲本機長はA350のサイドスティック操縦桿については「操縦している感覚としてはあまり違いはない」しつつつも、「操作することで起こっている“コト”は、全く違うんだなと感じています」と話します。
「ボーイング機は操作と動翼の動きがリンクしているのですが、エアバスは飛行機を傾けるためにサイドスティックを動かします。言い換えると、エアバス機は、スティックの動きと動翼の動きが必ずしもリニアに同調しているわけではないんです」(仲本機長)
仲本機長は「同じ状況での単純比較はできませんので、仮に同じ条件でという話になりますが」と前置きの上、次のように話します。
「ボーイング機では、横風のときなどは操縦桿を大きめに調整するイメージであるのに対し、エアバス機ではある一定の調整を飛行機があらかじめやってくれる感じで、パイロットの操縦桿操作は小さいです。エアバス機は、飛行機もパイロットと一緒に、コースや姿勢の修正を行ってくれます。そのため人間の方が操作で修正をしすぎると、結果的に『ふたりで一緒の行動をする』感じになってしまい、”お釣り”がくるような多めの操作になってしまうので、そういった違いはありますね」(仲本機長)
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2022年現在JALのA350-900は、当初予定されていた国内線仕様機16機が出揃い、名実ともにJALの主力機になりました。そして2023年には、胴体延長タイプのA350-1000が国際線に就航する予定です。パイロットという立場から、A350導入に関わってきた仲本機長は現状を「ようやくスタートを切れたなといった感じですね」と話します。
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