ウクライナであまり聞かない「海軍」の実力は? まともな軍艦ないのに“艦隊再編”報道の実際

ロシア軍によるウクライナ侵攻から5か月。善戦するウクライナの陸上部隊とは対照的に、同国海軍の名前はほぼ聞きません。ウクライナの海軍力についてひも解きます。

クリミア半島攻略は総力戦の恐れ

 また、仮にウクライナがセバストポリのロシア艦艇をミサイル攻撃し、無力化できたとしても、最終的には陸路クリミア半島を進撃し、攻略する必要があるでしょう。

 歴史をひもとくと、その前例があります。1854年から翌1855年にかけてのクリミア戦争では、トルコ、イギリス、フランスの連合軍が海と陸から同地を攻め、両陣営で合わせて約20万人もの戦死者を出しながらロシア軍を打ち負かしています。

 第2次世界大戦ではドイツ軍にルーマニア軍とイタリア軍が加わった約46万人の枢軸軍が、1941(昭和16)年から翌1942(昭和17)年にかけて行ったクリミアの戦いでセバストポリを陥落させています。この戦いでドイツ軍は80cm列車砲「グスタフ」を投入し、クリミア半島を孤立させて陸路セバストポリを落としました。戦死者は枢軸国が15万人、ロシア軍は捕虜を含めて50万人を失ったといわれます。

 セバストポリはクリミア戦争当時から要塞化されており、クリミア半島にはロシア空軍の航空基地もあります。東部での戦闘にウクライナが勝利することが前提にはなるものの、もしクリミア奪回の戦闘が始まった場合、ウクライナ軍にとって総力戦になるのは確実です。そこまでしてクリミア奪回にウクライナが進むのかが、今回の戦いの焦点といえるでしょう。

【了】

【写真】劣勢を強いられるウクライナ海軍の艦艇

ロシア軍のウクライナ侵攻 最新情勢 戦争はどうなっているのか

Writer:

軍事雑誌や書籍の編集。日本海軍、欧米海軍の艦艇や軍用機、戦史の記事を執筆するとともに、ニュートン・ミリタリーシリーズで、アメリカ空軍戦闘機。F-22ラプター、F-35ライトニングⅡの翻訳本がある。

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