韓国版ブルーインパルスで“営業”? ブラックイーグルス世界ツアーのワケ アジアの空軍初

「KF-21いいんじゃないか」 開発動向を注視するフィリピン

 フィリピン空軍は既存のレーダー・システムとの統合により、250海里以上の空海域を防衛する新戦闘機の導入プロジェクト「MRF」を立ち上げています。

 このMRFではF-16のほか、サーブのJAS39「グリペン」なども候補として名前が上がっていますが、2022年8月の時点では予算化されておらず、実現は2020年代後半にずれ込むとの見方もあります。

 こうしたなか、フィリピンの国営フィリピン通信は8月16日、フィリピン空軍でスポークスパーソンを務めるイナード・マリアーノ大佐が、同国空軍がKF-21の開発状況を注意深く見守っており、KF-21がMRFの候補となる可能性があると述べています。なお、KF-21の韓国空軍への配備は2028年から開始される予定です。

 フィリピン空軍がFA-50を導入する際には、「なぜ実績の乏しい韓国機を購入するのだ?」という批判もあったようですが、マリアーノ大佐は2017年に発生したイスラム原理主義勢力との戦いにおけるFA-50の働きぶりを例に挙げて、FA-50導入の選択は正しかったと述べています。

 なお、KF-21は共同開発国であるインドネシアでの国産化が決まっていますが、今のところ輸出の具体的な話はありません。

 韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は8月19日の演説で、世界第4位の防衛装備品輸出国となることを目指すと述べています。FA-50の働きぶりを高く評価し、かつ韓国が得意とする手ごろな価格の防衛装備品の需要が大きいフィリピンとの関係強化は、KF-21だけでなく韓国の防衛装備品全体の輸出を促進する上で重要であり、それ故にブラックイーグルスはエジプトから直接帰国せず、フィリピンに立ち寄ったものと考えられます。

【了】

【塗装もかっけえ!】韓国版ブルーインパルスの機体(写真)

Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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コメント

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3件のコメント

  1. T-50をバラバラに分解して持っていったとか聞いたけどすごい。
    やっぱり、営業がうまいよな~
    日本もこのくらい熱心に営業すれば良いのに。

  2. ブルーも海外で飛びたいだろうね。頭の堅いお役所は中々海外ツアーを認めないよね。

  3. 言っとくけどブルーインパルスよりうまいから