「陸羽西線」踏んだり蹴ったり? 道路建設で2年運休 代行バスは倍の2時間 なぜこうなった?
山形県のJR陸羽西線が2年間にわたり運休、バスによる代行運転が行われています。道路工事に伴う鉄道の長期運休という珍しいケースですが、現地に赴くと、鉄道の現状、そして新しい道路が求められている理由がわかりました。
「道路建設で鉄道2年運休」は規定路線?
最上川に沿って山形県の最上地方と日本海側の庄内地方を結ぶJR陸羽西線が、2022年5月から2年間の長期運休・バスによる代行期間に入りました。
この運休は、鉄道と並行する国道47号のバイパス道路「新庄酒田道路」の建設に伴うものです。この自動車専用道路のトンネルと、鉄道側のトンネルが地中約3mの距離で近接し、鉄道トンネルへの影響を抑える補強工事が必要となったことから、全面運休の決断が下されました。
こうした場合、鉄道の運行を継続するために桁やパイプ状の構造物(支保工)によってトンネルを守る「アンダーピニング工法」がよく用いられます。しかし今回の現場は、最上川沿いの地滑り多発地帯でもあり、周辺地盤の補強を行っても安全を確保できないことが道路施工者による会議で早くから報告され、鉄道の全面運休・バス代行は既定路線となっていました。
補強が必要となった鉄道トンネルは、高屋~古口間にある「第2高屋トンネル」です。「新庄酒田道路」(同区間の事業名「高屋道路」)はこの下を抜け、鉄道と国道が川沿いに大きくカーブを描く区間を、一気にショートカットする線形です。
かたや鉄道側の「第二高屋トンネル」は1914(大正3)年の完成から100年以上が経ち、上部の扁額周辺にひび割れが見えるなど、現地で目視してもかなり老朽化が進んでいるようです。JR東日本によると、内部にもひび割れ・空洞などが生じているようで、まずは道路工事による影響を抑えるべく、鉄道トンネルの内側をコンクリートで固め、樹脂の注入による地盤の強化などで保護を行った後に、道路トンネルの工事に入ります。
この工事運休にともなう陸羽西線のリリーフ役を担う代行バスは、庄内側の「松山観光バス」(酒田市)、最上側の「山形交通」、そしてJRバスなどが担っています。JRバスは山形交通新庄営業所に待機スペースを間借りしているため、山交・JRバスが仲良く停車しているという変わった光景も見られます。
実際に代行バスへ乗車してみると、鉄道のルートをたどるとはいえ、その使い勝手は大きく異なっていました。
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