「陸上自衛隊の輸送船」どんなの? モチーフはアメリカ陸軍の揚陸艦 横浜港で並ぶ可能性も
陸上自衛隊が運用する予定の輸送船とは
防衛省は2022年8月31日に発表した「令和5年度概算要求の概要」において、小型級船舶(LCU)2隻の取得要求を盛り込んでいます。昨年2021年の防衛予算では中型級船舶(LSV)1隻と小型級船舶(LCU)1隻の取得が明記されていたことから、それに続くものといえるでしょう。
防衛省の公開資料では、イメージとして中型級船舶(LSV)の方にフランク・S・ベッソン・ジュニア大将級兵站支援艦が、小型級船舶(LCU)の方にはラニ―ミード級汎用揚陸艇の写真がそれぞれ使われていました。
これらの使用用途は離島間における隊員や物資の輸送で、まず搭載量1700tクラスの中型級船舶(LSV)1隻と、搭載量350tクラスの小型級船舶(LCU)1隻の計2隻を取得する予定です。まず、この2隻を取得・運用して、その効果を検証したのち、所望の成果が出た場合は、本格的に複数の中型級船舶(LSV)と小型級船舶(LCU)の調達に乗り出すと思われます。
なお、中型級船舶(LSV)と小型級船舶(LCU)ともに運用は主に陸上自衛隊が担うようで、すでに一部の陸上自衛隊員は海上自衛隊の各種教育機関(学校など)に入校し、所要の教育訓練を受けています。
そうなると、設計から運用まで、アメリカ陸軍の支援船がお手本になることは間違いなさそうです。普段はあまり脚光を浴びることない横浜ノースドックですが、もしかしたら近い将来、そこに陸上自衛隊の支援船とアメリカ陸軍の揚陸艇が並ぶかもしれません。
【了】
Writer: 武若雅哉(軍事フォトライター)
2003年陸上自衛隊入隊。約10年間勤務した後にフリーフォトライターとなる。現場取材に力を入れており、自衛官たちの様々な表情を記録し続けている。「SATマガジン」(SATマガジン編集部)や「JWings」(イカロス出版)、「パンツァー」(アルゴノート)などに寄稿。
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