戦艦「長門」見に行こうぜ!! 戦前はさながらテーマパークの軍港 地域も潤う観光資源

模型は機密の網をくぐって制作された高級品!

 また模型も売られていました。プラモデルはまだ存在しませんが、金属製や陶器製の軍艦や大砲、高角砲、飛行機などの模型が商品化されています。

 模型は現物に忠実であるほど良いものの、そこが観光土産と軍事機密のバランスの難しい所でした。現在はスマホで誰でも簡単に写真を撮れますが、当時はカメラもフィルムも高価で、誰でも持っているものではありませんでした。しかも防諜上の制限が多く、たとえカメラやフィルムがあったとしても兵器の写真を撮ることはままなりません。

 そうしたわけで模型の原型を作ること自体が大変であり、加えて性能を悟らせないようあえてデフォルメして海軍省の許可をとる、という手間が必要でした。かなり高価なものになりましたが、模型コレクターも居ました。

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「大和ミュージアム」は呉港を望み造船所も見える立地で、JR呉駅からの行程も商業施設が充実している(月刊PANZER編集部撮影)。

 戦前の鎮守府観光は海軍のアピール、国威発揚と社会教育という意味が強かったかもしれませんが、地域では制約の多いなかでも海軍や観光客、ディープなファンのニーズを上手く受け止めて地域振興に努力していました。当時の土産物にそれが良くあらわれていると思います。

 令和時代の「大和ミュージアム」の役割も社会教育であり、地域振興でもあります。軍事施設や兵器を見ることを社会教育と捉えようが、単なる観光と捉えようが、何を感じて考えるかは各個人の自由であり、それは、いまも昔も変わりません。

【了】

【画像】かつての鎮守府 横須賀の戦艦「陸奥」主砲と砲弾

Writer: 月刊PANZER編集部

1975(昭和50)年に創刊した、40年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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