ステルス全振り!異形の軍艦「ズムウォルト」乗って実感した実力 計画は本当に失敗か?

2022年9月下旬、横須賀にアメリカ海軍の「ズムウォルト」が寄港しました。ステルス性を考慮したという奇妙な外観がよく話題になるものの、実際の性能はどれほどなのか、実際に乗った体験をもとにひもときます。

船体外板を触ってみた!

 許可を得て船体外板を触ってみたところ、ステルス戦闘機のようにレーダー反射を抑える特別なコーティングがされているような感じはなく、その質感は通常の艦艇と同じ金属的な質感でした。広報担当者に聞くと「この艦のステルス性は、船体の形状と素材(マテリアル)で実現している」とのコメント。ステルス戦闘機とは異なる技術的なアプローチがされているのかもしれません。また、船体より上のデッキハウス部分だけはタイル状のパネルで覆われており、船体の部分ごとで異なるステルス対策が施されているように感じました。

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タイコンデロガ級イージス巡洋艦(右)と並んで停泊しているズムウォルト級駆逐艦(左)。艦全体の印象が全く異なっており、さらにズムウォルト級の方が大きい(布留川 司撮影)。

 ズムウォルト級駆逐艦はステルス性を極端に追求した軍艦と言えますが、ゆえに建造費用が高騰し、建造数も当初の計画の32隻から前出の3隻にまで削減されています。運用コンセプトも二転三転しており、火力プラットフォームとして主力装備になるはずだった155mm砲についても、専用砲弾であるLRLAP(長距離対地攻撃砲弾)が価格高騰を理由に調達中止となっています。

 こうした事情から、ズムウォルト級の開発計画そのものが失敗と考える意見も多く出ていますが、本艦には特異なステルス性だけでなく艦内ネットワーク・自動化といった先進的な艦内システムが組み込まれており、船体も大きいことから潜在的なポテンシャルは高いとも言えます。アメリカ海軍は将来的な計画としてズムウォルト級の艦内システムのアップグレードや、155mm砲を撤去して同海軍としては初となる極超音速兵器を搭載する計画も立てているようです。

 その見た目からイロモノ的な扱いを受けることもあるズムウォルト級ですが、それゆえに軍艦としての存在感は他の軍艦より大きいのは間違いなく、今回の横須賀への寄港も対外的なアピールの意図が含まれているのかもしれません。今後、本艦がどのように運用されていくのかは、アメリカ海軍の将来と動向を判断する上で注目すべきポイントだと筆者は考えます。

【了】

【ココ開くの!?】「ズムウォルト」が積むミサイル垂直発射装置や艦橋のアップほか

Writer:

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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