あれ、艦載機が違う フランス新空母のCGに見る“強い不満” 次世代機開発めぐる牽制か

フランスがちらつかせる「プランB」

 2022年10月20日付のロイターは、10月中の開催が予定されていた、仏独両政府が両国間の様々な問題を話し合う会合が、政府間で考え方の食い違いが大きすぎるため2023年1月に延期されたと報じています。

 ロイターによれば、仏独政府間の溝を大きくしている最大の理由は、ロシアのウクライナ侵略に伴って危機的状況にあるヨーロッパのエネルギー政策に対する考え方の違いにあるものの、ドイツがヨーロッパ諸国へアメリカ製防空システムの導入を主導していることに不信感を募らせており、これも会合延期の一因になっているとも報じています。

「PANG」は2038年の就役を予定していますが、ダッソー・アビエーションのエリック・トラピエCEOは2022年6月、仏独両国の思惑の違いを解消するための話し合いには長い時間が必要となるため、FCASが2050年以前に就役することはないとの見解を示しています。

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2019年に開催されたパリ・エアショーで展示されたFACSの有人戦闘機のコンセプトモデル(竹内 修撮影)。

 またトラピエCEOはFCASが次世代戦闘機を開発するための最良の手段であると断った上で、フランスには単独で開発する能力があり、「我々(ダッソー・アビエーション)は『プランB』、つまりFCASに代わる新戦闘機の開発も検討している」と述べています。

 うがった見方かもしれませんが、飛行甲板にラファールMが並べられている「PANG」の新イメージCGは、FCASの開発計画でこれ以上勝手な事を言うのであれば、我々は独自路線を行くという、フランスのドイツに対する牽制の意味が込められているように筆者には思えます。

【了】

【明らかに目立ってる「ラファールM」】仏の次期原子力空母「PANG」画像で見る

Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)

軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。

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コメント

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2件のコメント

  1. 2050年てイギリス日本連合のテンペストF-3の後継機と競合するて事?なめてるよね?ヨーロッパ向けはイギリスが担当なんだが。

  2. カタパルト長くない?