沖縄の“かなり安い”高速道路料金「継続を」 知事の要請は課題解決になるか
なぜ低い? 沖縄のETC普及率
沖縄県には鉄道(ゆいレールは軌道)がなく、幹線一般道の渋滞を少しでも緩和するため、沖縄道の利用を進めたいという狙いがあります。その努力の成果として、年間交通量は1999年の約1680万台から、コロナ禍前の2019年には約3800万台まで増加しました。
それでも沖縄道が高速幹線道路として定着しているとは言い難い側面があります。それをETC利用率が示しています。
沖縄道のETC利用率は66.5%。NEXCO西日本エリア内の高速道路ETC利用率92.2%を大きく下回っています。交通行政を担当する沖縄県交通政策課は、こう分析します。
「高速道路はレンタカー利用の観光客も多く、車載器が搭載されていても、ETCカードが手元にないため現金を利用する車両もある。また、県民にも1年に数回しか沖縄道を利用しないライトユーザーがいて、ETCを利用する費用対効果が見いだせないようだ」
沖縄県はNEXCO西日本と連携し、11月30日まで「ETC車載器購入助成キャンペーン」を実施。知事自らラジオに出演し、まだ車載器を取り付けていない車両を対象に購入費用の1万円を助成するなどをPR、利用率の引上げに努めています。
ただ、沖縄道の割引でETC車に割引が限定されるのは、多頻度割引最大50%など時間帯割引だけで、特別割引(35.5%)は現金車にも適用されます。NEXCO西日本は“ETC車に限定すると利用率を上げることができる”と提言しましたが、沖縄県は県民への配慮から踏み切れていません。
ETCの導入は、全国でも沖縄県と同じ理由でなかなか進みませんでした。促進策として取り入れられたのはETC車限定の料金施策でした。沖縄県の高速道路では、まだ時間が必要なようです。
【了】
Writer: 中島みなみ(記者)
1963年生まれ。愛知県出身。新聞、週刊誌、総合月刊誌記者を経て独立。行政からみた規制や交通問題を中心に執筆。著書に『実録 衝撃DVD!交通事故の瞬間―生死をわける“一瞬”』など。
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